ノースブリッジは、岩田康騎手の「技」が光った。直線入り口、内バビットと外ラーゴムの間を突いたところで勝負あり。坂下で一気に抜け出すと、猛追してきた2着エヒトを4分の3馬身振り切った。

レース序盤はラチ沿いの5番手で、逃げたシャムロックヒルの後ろ。内から2列目が2番手バビット-エピファニーという並び。前半1000メートルは61秒3と遅く、3、4コーナーで馬群が密集するのは目に見えている。

しかも、前を走るシャムロックヒルの手応えは良くない。どこかで2列目に切り替えるには、エピファニーとの位置関係を逆転させる必要があった。岩田康騎手が動いたのは、残り800メートル地点。前との距離を詰めることでポジションを上げ、進路を確保する準備を整えた。

4コーナーではエピファニーに馬体を寄せてバビットの後ろへ。最後は運良く前が開いたようにも見えるが、そこへ至るまでの位置取り、コース取りが巧みだった。前進気勢の強いノースブリッジだけに、ひとつ間違えれば掛かってしまう危険もある中で、この手綱さばきは見事だった。

AJCCを制し歓喜の岩田康騎手とノースブリッジ(撮影・丹羽敏通)
AJCCを制し歓喜の岩田康騎手とノースブリッジ(撮影・丹羽敏通)