ローシャムパークの勝因は3、4コーナーの立ち回り方にある。逃げたタイトルホルダーの前半1000メートルは61秒1。G1級のメンバーがそろった重賞としてはかなり遅い。その分、後半(ゴールから逆算した5ハロン)は一気にペースが上がり58秒5。11秒台を4回も刻む明らかな「後傾」ラップ。この速い流れの中で、いかに脚を残すかが勝負になる。

ルメール騎手は5、6番手で流れに乗り、向正面でハヤヤッコがまくった時もついていかず、しっかり脚をためた。自らタイトルホルダーに鈴をつけに行くのではなく、早めに動いたハヤヤッコ、ガイアフォースの後ろで我慢。4コーナーを回ってゴーサイン。ここしかないというタイミングが、坂上からのひと伸びにつながった。

ラスト1ハロンは12秒4。前が止まったところを一気に逆転。まさに思い描いた通りの競馬だろう。もし、残り600メートルからタイトルホルダーを負かしにいっていたら、最後までもったか分からない。前を逃がさず、後ろからも差されない。絶妙な仕掛けが重賞連勝を呼び込んだ。

オールカマーを制したローシャムパークのルメール騎手(撮影・柴田隆二)
オールカマーを制したローシャムパークのルメール騎手(撮影・柴田隆二)