これまでにない光景だ。川崎競馬場のゴール前。今開催からカメラマンと並んでレースを見届けている男がいる。6日に管理馬の初出走を迎えた山崎誠士調教師(41)。「いちばん近いところで見たいから。生で見ないと分からない部分もあると思うので」。騎手の駆け引き、息遣いなども確認したいからだという。川崎のトップに立ってきた元騎手がこだわりを見せる。

初陣となった6日の2Rは2番人気のプラカーシャで6着。大外枠で集中力を欠いてしまった。「勝てるようにはしてきたつもりでしたけど、難しさを感じましたね。初出走で初勝利はかなわなかったですけど、いろいろ試行錯誤して経験を積んでいきたいです」。

「川崎から世界へ」を目標に掲げ、5月に7馬房で開業。3人のスタッフとともに「じっくり時間をかけてやっています」。調教の方針は「その馬に合わせた日々の最大限の負荷をかけられるように」。そのためのミーティングを欠かさないだけでなく、担当馬を決めないプール制を採用し、全員が各馬の状況をスマートフォンで共有するための仕組みも師が自ら作った。

騎手時代は「うまくしかいかないと思っていた(笑い)」そうだが「まだ始めたばかりで、そんなにうまくいくとは思っていない。うまくいきすぎると成長もしない。1人でやっていた騎手とは違う。チームで強くならなきゃいけない」と先を見据える。その第一歩を踏み出した。【牛山基康】