まさに優勝請負人だ。ダービーを制した直後のダミアン・レーン騎手(29)が、重賞挑戦11回目のヒートオンビート(牡6、友道)に初タイトルをもたらした。逃げたディアスティマをゴール前で差し切った。勝ち時計は2分30秒8。夏は休養し、秋のG1戦線を視野に入れる。

   ◇   ◇   ◇

レーン騎手がまた導いた。ダービーの興奮がまだ残る府中の直線で豪腕がさく裂した。逃げたディアスティマがなかなか止まらない。しかし馬群の中から1頭抜け出した。その背中にはダービージョッキーとなったばかりの豪の名手。大迫力のアクションでヒートオンビートに推進力を与えると、ゴール寸前で頭差捉えた。殊勲の鞍上は「いいペースで行けて、直線も手応えが良かった。馬はやりきってくれたし、すごく素直。いい勝負ができました」と話した。

友道師は人馬の勝利を笑顔で迎えた。21年に引退した師匠、松田国英師から受け継いだ馬。特別な重賞勝利に「ようやく勝てました。いつもゴール前で甘くなるということだけ騎手に伝えた。その通りうまく乗ってくれた」と優勝請負人の腕に脱帽した。

夏は全休し、秋に備える。晴れて重賞タイトルを手にし、視界は大きく広がった。師は「夏は山元トレセンへ。秋は大きいところ、G1を狙いたいですね」。これまで2000メートル以上の重賞で幾度も好走した実力馬。3歳勢も参入する秋のG1戦線で、6歳牡馬が躍動する日が待ち遠しい。【舟元祐二】

◆ダービーと目黒記念を同日勝利した騎手 2競走が同日に行われるようになった06年以降(11年を除く)では、17年にダービーをレイデオロ、目黒記念をフェイムゲームで勝利したルメール騎手以来、6年ぶり2回目の快挙。

◆ヒートオンビート ▽父 キングカメハメハ▽母 マルセリーナ(ディープインパクト)▽牡6▽馬主 (有)社台レースホース▽調教師 友道康夫(栗東)▽生産者 社台ファーム(北海道千歳市)▽戦績 24戦5勝▽総収得賞金 2億7630万5000円▽馬名の由来 リズムに乗って