重圧に打ち勝ち、また1つ相棒に勲章をもたらした。1番人気クロワデュノール(牡4、斉藤崇)が直線で抜け出し、大外から急追した伏兵ヴェルテンベルク(牡6、宮本)を“推定2センチ”の鼻差で抑え、G1・4勝目を挙げた。勝ち時計3分13秒7。初の3200メートル戦を攻略し、意地を見せた。
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人知れず重圧と闘った。単勝オッズ1・8倍の断然人気に推されたクロワデュノール。主戦・北村友騎手はレース後の会見で、プレッシャーは感じたか、の問いに本音をこぼした。
「感じるに決まってます。共同記者会見では『不安はない』と言っていますが、言葉には出さないですけど、内心あるに決まっているので…」
前走で復活を遂げた相棒と支持してくれるファンのため、負けられなかった。責任を果たし、笑顔で「ホッとしました」とかみしめるようにもらした。
最後はまさか…、の寸前だった。直線で抜け出すが、脚色が鈍り始め、後続が襲いかかる。大外から1頭、飛んできたのはヴェルテンベルク。1完歩ごとに差を詰め、決勝線では鼻面が並んだ。「本当にわからなかった」と敗戦も覚悟した。ざわつく京都競馬場に詰めかけた大観衆。入線後、約10分続いた写真判定の答えは、推定2センチ。勝ったのは、王者だった。
ポイントは序盤にあった。初の1周半競馬、3200メートルという距離。前半で温存できるかが鍵になる。その部分を“不安”に感じていた。実際、最初の3~4角の上って下る坂は「思っているよりリラックスできず、気負ってしまった」と予感が的中。しかしその後はなだめて、2周目の坂を越え「直線はしのいでくれる」と馬を信じて追い、接戦を制した。「首の上げ下げだったので、運もあったのかな」と目尻を下げた。
条件を選ばず勝ち続けるのが真の強い馬だ。「この距離がベストとは思っていなかった。総合力、機動力、底力がこの馬の強さです」と寄せる信頼はさらに高まった。長い写真判定の間、鞍上は斉藤崇師と「馬の雰囲気や、次に向けて、二人で淡々とクロワのことを話していたら、自然と時間が過ぎていった」と明かした。日本を背負う最強馬をもっと高いステージへ。どんな重圧を背負おうと、クロワデュノールと北村友騎手のコンビは負けない。【深田雄智】
◆クロワデュノール ▽父 キタサンブラック▽母 ライジングクロス(ケープクロス)▽牡4▽馬主 (有)サンデーレーシング▽調教師 斉藤崇史(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽通算成績 10戦7勝(うち海外2戦1勝)▽総獲得賞金 12億1984万600円(同597万600円)▽主な勝ち鞍 24年東スポ杯2歳S(G2)ホープフルS(G1)25年ダービー(G1)プランスドランジュ賞(G3)26年大阪杯(G1)▽馬名の由来 北十字星(フランス語)

