強い。強すぎる。単勝1・5倍の断然人気に支持されたレモンポップ(牡5、田中博)が2着以下に大差をつける逃げ切りを決めた。勝ち時計は1分33秒8。フェブラリーSに続くG1・2勝目となった。

今春のドバイゴールデンシャヒーンは10着に敗れたが、国内は全12戦オール連対を継続。秋初戦で貫禄を示した。

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レモンポップが後続を容赦なく突き放していく。坂井瑠星騎手(26)は直線でターフビジョンを横目で見た。もう、後続に追いつかれることはない。確信があっても、相棒を最後までゴールまで追い立てた。すっかり日が落ちたコースで、1頭だけが照明を浴びている。独走はレース史上初の大差となっていた。坂井騎手は「最高にうれしいです。4角で仕掛けた時の反応も素晴らしく、これなら負けないと思いました」と振り返った。

王の帰還だ。道中はリズム重視。自然とハナに立っていた。「プランを決めず、この馬のリズムで運ぼうとしたら逃げる形になりました。強いのは分かっていましたし、一緒にレースを楽しんできました」。今春のドバイでのゴールデンシャヒーン10着後、シリウスS参戦も視野に栗東調整を続けたが、ハンデ61キロなどを理由に美浦へ帰厩。仕切り直しに選んだ大舞台でも、変わらぬ強さを発揮した。

国内復帰戦で力を誇示した。坂井騎手は「ドバイでは悔しい思いをしましたが、国内では底を見せていません。5歳にしてはキャリアもそこまでないので、これから良くなると思います」と伸びしろを認めた。これで国内12戦でオール連対を継続。ピークはまだまだ先にある。【松田直樹】

◆レモンポップ▽父 レモンドロップキッド▽ 母 アンリーチエイブル(ジャイアンツコーズウェイ)▽牡5▽馬主 ゴドルフィン▽調教師 田中博康(美浦)▽生産国 米国▽戦績 13戦9勝(うち海外1戦0勝)▽総収得賞金 3億5843万8000円▽主な勝ち鞍 23年根岸S(G3)フェブラリーS(G1)▽馬名の由来 レモンスカッシュ。