ダート界に、6歳の新勢力が誕生した。5番人気のミッキーヌチバナ(牡、高橋亮)が重賞初制覇を飾った。直線で差し切り、遅咲きの花を咲かせた。

太宰啓介騎手(44)は16年平安Sアスカノロマン以来の重賞制覇。インタビューでは、10日に死去した藤岡康太騎手(享年35)への思いがあふれ「これからも競馬を応援してください」と涙声で訴えた。

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「ジョッキーには悲しい、つらい2日でしたけど、一同、力を合わせて頑張っていくので。みなさん、これからも競馬を応援してください。馬を応援してください。ジョッキーにも声援をよろしくお願いします」。インタビューで最後のひと言を求められた太宰騎手は涙声で話した。

ミッキーヌチバナには22年7月以来の騎乗。44歳のベテランは「調教にはちょくちょく乗せていただいていましたから」と成長を感じつつ、持ち味を発揮させるプランも頭に入っていた。「前に人気馬が何頭かいて、いい目標になりました」。直線では馬体を併せる形で脚を伸ばす。1頭、また1頭と競り落とし、最後に粘り込みを図るスレイマンを首差捉えた。

8年ぶりの重賞制覇にも、表情は神妙だった。レースの緊張から解放されて現実に戻れば、早世した後輩のことが頭に浮かんだ。高橋亮師も「ショッキングなことがあって力が出ない感じだった」と藤岡康騎手の訃報に心を痛めながらも、愛馬の激走を信じていた。「普通キャンターでも最近はやる気が出ていた。成長してます」。今後は順調なら5月18日京都の平安S(G3、ダート1900メートル)に向かう予定。6歳馬と、いぶし銀ジョッキーの晩成ロードは続いていく。【明神理浩】

◆ミッキーヌチバナ ▽父 ダノンレジェンド▽母 ヌチバナ(キングカメハメハ)▽牡6▽馬主 野田みづき▽調教師 高橋亮(栗東)▽生産者 追分ファーム(北海道安平町)▽戦績 19戦5勝▽総収得賞金 1億2228万6000円▽馬名の由来 冠名+母名