さあ、牝馬2冠へ突き進め! 桜花賞馬ステレンボッシュ(牝3、国枝)が歴史的名牝への道を行く。日曜東京メインのオークス(G1、芝2400メートル、19日)を前に、同馬を管理する国枝栄師(69)が意気込みを語った。
国枝厩舎といえば、10年アパパネ(オークスはサンテミリオンと1着同着)、18年アーモンドアイと3冠牝馬2頭を輩出。今年も当時同様の手応えを抱いて、週末を心待ちにする。「最後は力で抜けてくるんじゃないの?」。絶対能力の高さを信じる強気の姿勢を、たっぷりとお伝えする。
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国枝師の軽妙な語り口は大一番が控えていても、いつも通りの軽やかさだ。「トラブルなく競馬に臨めれば、2頭と同じような結果が出ると期待している」。桜花賞馬ステレンボッシュの比較対象として挙げたのは、もちろん同じく桜花賞を勝ったアパパネとアーモンドアイ。2冠だけに留まらず、その先までもを見据えているような…。確固たる自信を持ってオークスウイークを迎えた。
今年も、芝2400メートルは全馬が未知の距離。桜花賞組は800メートル、別路線組でも400メートル以上の距離延長が待っている。国枝師は現役トレーナーでは最多の11頭をオークスに出走させ、2勝はトップ(【2 2 0 7】)。経験から導き出された好走の基準がある。
国枝師 桜花賞は勝ったけどブンブン行ったり、見るからにレースで折り合いが…、という馬はどうかなと思うけど、しまいにきっちり伸びてこられる馬は大丈夫。いつも思うけど、1600メートルから2400メートルになっても、最初の半マイル(800メートル)でうまく折り合って、あとの1600メートルを同じように競馬ができれば、距離はこなせる。(ステレンボッシュは)そのあたりの適性から止まる雰囲気ではないし、ブンブン行く馬でもないから。リズム良く行って、1600メートルでの競馬みたいにヨーイドンでいいのでは。もともと中距離の馬だと思っていたし、(マイルは)こなせたという感じ。そう捉えていい。
桜花賞でG1初制覇。阪神JFで首差届かなかったアスコリピチェーノに、牝馬1冠目では4分の3馬身差やりかえした。番組の都合上、牝馬路線を極めるためにはマイル克服が第1関門だった。中距離適性の高さを買っていながら、マイルでG1を勝利したことで、能力の高さを再認識した格好だ。かつて管理した3冠牝馬との比較を問われると、「扱いやすい。圧倒的に」と行儀の良さを強調した。
国枝師 アパパネは距離がどうか、というのがあった。まだあのときはポリトラックで調教をやっていた。暖かくなって、馬の格好がすらっとして、胴が伸びたのもあったんだ。でも、あれは同着だしなあ。エポックメイキングだったし、それで子どもにアカイトリノムスメ(21年秋華賞馬)が出て。大した馬だよ。(ステレンボッシュは)負けたときの敗因はあったけど、新馬戦の前から雰囲気はよかった。全部のバランスがいいよね。当然、精神力もある。普段の様子に表れている。だから調教ができたり、チャレンジできる。メリハリがあって、落ち着いて調教ができるのはでかい。ちゃかちゃかいくのではないから。
年明け初戦に桜花賞を据えたのは、過去の2頭とは異なるローテ選択。今回が今年2戦目になる。間隔は詰まるが、上積みを感じている。
国枝師 1週前は(戸崎)圭太が乗って、スムーズな動きができていた。圭太も満足してくれていた。乗りやすいし、特に気になるところはない。落ち着きもあるし、それが一番。イレ込むことなく、淡々と調教ができた。全体のフレームが伸びてしっかりしてきたよね。この時期だし腹回りはすっきりとしているけど、筋肉がしっかりついて、パンプアップされた。アスリート体型に近づいてきた。ひとつひとつの動きが浮ついていないというか、自信を持っている。状態としては2頭と遜色はない。いいレベルにあると思う。馬はもうすでにできているという感じ。1回使われて、そのモードに入っている。特にあの馬に関してはカイバも食べているし、体は気にしていない。調教もちゃんとやっていて、カイ食いがちょっと…って馬でもないから。
状態がアップし、むしろ条件好転を思わせる距離延長。名伯楽のレース見立てはこうだ。
国枝師 枠もどこでもいい。中団あたりから相手に合わせて同じような競馬をすれば、最後は力で抜けてくるんじゃないの? 極端に前に行って競りかけられたり、後ろから外を回らされるような感じにならなければ。東京は比較的レースがしやすいからね。右、左の回りはどっちでもこなす。雨が降ったら、傘をさして見るしかないね。そこはみんな一緒だから。スタンド発走もよほどのことがなければ大丈夫。外的要因でなくて、競馬だからいろんなこともあるかもしれないけど、納得いく競馬がしたい。それで負けたらしょうがない。
あふれ出る愛馬への信頼感。勝利以外は見えていない。まずは史上16頭目の牝馬2冠へ。夢が広がる勝利を期待している。

