すべては友のため-。キーファーズ松島正昭代表(66)は武豊騎手(55)へ、直近4年間の凱旋門賞で3頭目となる騎乗馬を用意した。今回のアルリファー(牡4、J・オブライエン)はクールモアとの共同所有。世界最大の競走馬事業グループに直談判で掛け合い、信頼関係を築き上げた。
「ユタカ・タケの夢は私の夢」
片言の英語で何度も繰り返してきた口説き文句だ。
「昔からの友達やから、ディープインパクト(06年3位入線失格)の話もよく聞いて『今でも夢に出る』『悔しくて悔しくて仕方ない』と。別に僕の馬やなくても、武ちゃんが勝つことを見るだけでええから」
厚い壁は痛感している。
「凱旋門賞には4回行ってますけど、4回とも最後はお通夜みたいに帰ってきてますね。ドウデュース(22年19着)の時なんて、本当に死ぬかと思いました。勝ちにいったから。武君も『勝てる』と言ってました。人生の中でも、あの時はショックやったな…」
そこまでして応援したくなるのはなぜなのか。
「お互いに恩着せがましくやってない。『ほんまにありがとう』『いやいや、こちらこそ』みたいな感じです。ダービーを勝てるなんて漫画みたいなもの。確信があったわけでもないし『松島さん、大丈夫ですか』ばっかり言われてましたけど(笑い)。ロマンや思いというのが、今の世の中でも通用するんやなと」
負けても負けても、歯を食いしばって支え続ける。
「仕事も10回やったら9回が失敗。あかんかってもやり続けないと」
一心同体で追ってきた夢。今年こそ思いが通じると信じたい。【太田尚樹】

