日本競馬界の悲願成就を目指して、ダービー馬クロワデュノール(牡3、斉藤崇)が凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月5日=パリロンシャン)に出走します。クロワデュノール陣営の思いに迫る連載「パリで輝け 北十字星」。3回目は、矢野龍一装蹄師(49)です。
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装蹄師とは、いわゆるアスリートの生命線である靴を作るような大事な仕事だ。矢野龍一装蹄師(49)は、数多くの名馬に携わり、活躍の大きな一助を担っている。ダービー馬だけでも4頭の蹄鉄(ていてつ)を打った。16年マカヒキ、18年ワグネリアン、22年ドウデュース、そして25年クロワデュノール。一流馬の脚もとを支えてきた。
そんなベテランは、クロワデュノールを見て、当初から素質の片りんを感じ取っていた。「本当にいい爪をしています。近年の走る馬の特徴でもある、少し薄めの見た目でバランスがいいんです」。蹄鉄(ていてつ)の大きさは3~8号まである中で、少し大きめの6号。鉄のすり減り方が“きれい”で、常に走りのバランスの良さを感じている。
装蹄時には時折うるささを見せるものの、要所ではおとなしく、悪さをしない。そんな立ち振る舞いにも超一流馬の雰囲気があるという。
「牝馬はソダシのように、かわいらしい方がいいと思うんですが、牡馬は品があって、かっこいい馬がいいですね。サトノダイヤモンドもドウデュースもそうでした。クロワデュも同じです。黒光りしているので余計そう思うのかもしれないですが、とにかく初めからかっこいい馬でした」
万全を期すため、矢野さんもフランス入りする。
「日本の芝とヨーロッパの芝は違いますし、馬場に関してはやってみないと分からないです。ただ、やっぱり勝ってもらいたいですよね。そうなることを願っています」
凱旋門賞は自身6度目の挑戦。今までの経験を駆使し、“最高の靴”を作り上げて天命を待つ。【藤本真育】

