日本馬がまだ勝っていない凱旋門賞を過去2勝している名手が、今年も有力馬ミニーホーク(牝3、A・オブライエン)に騎乗する。クリストフ・スミヨン騎手(44)だ。「世界のトップが常に上位を占めている」と言われるほど、騎手の腕が問われる舞台、凱旋門賞。そんな大舞台の勝ち方とは-。

「凱旋門賞はパワーが必要。スピードも重要なファクターだけど、結果的に毎年、重馬場になるし、メンバーもタフな連中ばかり。走法がパワータイプの馬が上位に来るレースですね。でも、勝ったと思ったオルフェーヴルの時(12年2着)もそうだったけど、何が起こるかわからないのが競馬。運も絶対にあると思う。でも、まぐれでは絶対に勝てないよ」

勝利への原動力がある。スミヨン騎手は子どもたちに乗馬を教えるため、数年前にSIPA(スミヨン国際ポニーアカデミー)を設立した。時にはポニーレースも行い、若い騎手の育成に尽力する。自身が憧れの存在であり続けるため、騎手としてベストを尽くすだけでなく、結果を出したいという思いは強い。

「凱旋門賞に乗れること、そこで良い結果を出すことが騎手としてだけではなく、生徒たちへの希望や夢を与えることになります。彼らに見せる競馬をしたいと思っています」

今年は、アイルランドの名伯楽エイダン・オブライエン厩舎の主戦として参戦する。同厩舎の主戦だったR・ムーア騎手が大腿(だいたい)骨の疲労骨折で戦列を離れているため、手綱が回ってきた。

「ライアンのけがという不慮のトラブルにより、困ったエイダンが私に声をかけてくれたのが始まりです。その後、良い結果を出せたことと、過去にも何度か乗せてもらって結果を出せていたことで、いつの間にか主戦扱いしてもらうようになっていたのですが、これは非常に光栄な事です」

今回騎乗するミニーホークは、ブックメーカーのオッズで1番人気。英愛オークスと、古馬相手のヨークシャーオークスを制した目下5連勝中の実力馬だ。1週前にバリードイル調教場で調教に騎乗し、感触を確かめた。

「見た目はフランケル(産駒)っぽくないですが、過去の勝ったレースを見ていただければおわかりのように、牝馬ながらすごくパワフルな走りをします。血統的にもそうだけど、こんな牝馬はなかなか出てこないと思います」

6月で44歳となったベテランは、今年これまでに愛チャンピオンSのドラクロワをはじめ、フランス、アイルランドでG1を計5勝している。凱旋門賞3勝目と、今年のG1・6勝目となるか。日本馬の走りとともに、世界のトップに君臨するレジェンドの手綱にも注目だ。(聞き手=木村孝也氏)

【凱旋門賞】日本馬3頭が悲願のV挑む!世界最高峰の一戦 5日23時5分発走/情報まとめ