JRA坂井瑠星騎手(28=矢作)が、今年こその米ブリーダーズC制覇に挑戦する。BCクラシック(G1、ダート2000メートル、現地11月1日=デルマー)で騎乗する相棒はフォーエバーヤング(牡4、矢作)。昨年、3着に敗れた舞台で人馬待望の勝利に挑む。
日刊スポーツでは「世界へ瑠星 Off to the world」と題して、坂井騎手の世界挑戦を4回連載で追う。最終回は、「憧れの人」武豊騎手とディープインパクトを見て描いてきた、世界一への決意を語る。
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ディープインパクトが大好きだった。当時、まだそれほど中央競馬を見ていなかった小学生の坂井少年でも、ディープが走る時はテレビにくぎ付けだった。
「小学校の先生が授業の合間に話していたくらいですから。ディープが凱旋門賞に挑戦した時、深夜の発走なので小学生の僕はリアルタイムで見られず、録画していたんですが、次の日に先生に『ディープ、3着(のちに失格)だったね』と言われてしまって…。え、勝てなかったの、とショックを受けたことを今でも覚えています」
いつもディープの背中にいた武豊騎手は坂井少年のヒーローだった。「将来、こうなりたいと思う憧れの人でした」。レースに一緒に乗る日を夢見ていた。あれから約20年。夢は現実となった。肌で感じるレジェンドのすごさはもちろん、自身が海外へ行くようになって、より武豊騎手のすごみを感じたという。
「どこの国に行っても、日本人だと言うと必ず『YUTAKA TAKEは元気か』と言われるんです。すごいですよね」
フォーエバーヤングも坂井騎手にとっては“ヒーロー”だ。同馬をひと言で表すなら「漫画の主人公」。ここぞの場面で考えられないほどの力を発揮する、頼りになる存在だ。
「普段は普通で、おとなしくて、何もしなくて、これといった特徴のない馬なんです。でも、走らせるととんでもない走りをする。いざという時に力を出すのってヒーローですよね。とにかく気持ちが強くて、抜かそうとする気持ち、抜かさせないという気持ちが(他馬と)違うと感じます」
3着に敗れた昨年に続くBCクラシック挑戦。96年13着のタイキブリザードから始まった、日本馬敗戦の歴史に終止符を打つ。
「1人のお客さんとして見たいくらい、最強メンバーがそろいました。その中で有力馬の1頭として出ることができる。難しいレースになると思いますが、出るからには馬の力を信じて、世界一の称号を取れたらと思っています」
昨年の覇者シエラレオーネ、米G1・4勝のフィアースネス…。今年も強豪が集う。正真正銘の“ダート世界一決定戦”だ。世界を目指し続けてきたジョッキー坂井瑠星が、フォーエバーヤングとともに、世界一へ-。(おわり)【藤本真育】
◆坂井瑠星(さかい・りゅうせい)1997年(平9)5月31日生まれ、東京都出身。16年3月に栗東・矢作厩舎所属で騎手デビュー。同4月2日阪神で初勝利。1年目は25勝を挙げ、中央競馬関西放送記者クラブ賞(関西所属騎手新人賞)を受賞。2年目は36勝と勝ち星を伸ばしながら秋にオーストラリアへ渡った。19年フィリーズレビュー(ノーワン)で重賞初制覇。22年秋華賞(スタニングローズ)でJRA・G1初制覇。今年のサウジC(フォーエバーヤング)で海外G1初制覇。先週26日京都で3年連続3回目のJRA年間100勝達成。JRA通算成績は5668戦616勝、重賞23勝(うちG1・6勝)。父は大井競馬の元騎手で現調教師の坂井英光師。

