市島酒造/新発田市
2002年に7代目となった市島健二社長

 4月19日、六本木ヒルズで「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」の表彰式が開催された。金賞を受賞した市島酒造の「市島ぷらちなスパークリング」のラベルは雫(しずく)をイメージした斬新なもので、3年前から海外で好評を得ている「雫シリーズ」の1つだ。

 海外展開にも力を入れている市島酒造だが、市島健二社長が今回蔵の1本として選んだのは「秀松 朱(あか)」。創業者市島秀松の名を冠した酒で、新発田市内11の酒販店だけで販売。「地元でしっかりと後押ししてもらえる地酒を」とのコンセプトから生まれた。

 秀松シリーズ3種類はすべて地元菅谷産の「越淡麗」を使用。「朱」は特別本醸造に該当するが精米歩合などは非公開だ。「脳とスペックで日本酒を飲むお客さまが多くなっていますが、創業した江戸時代はみな舌と財布で判断して酒を飲んでいたはず。その頃のように味で日本酒を選んでほしいからです」と市島社長は理由を語る。ロンドンで開催されている「IWC(インターナショナルワインチャレンジ)」では2011年(平23)に「SAKE部門 本醸造酒の部」で金メダルを獲得した。

 県指定文化財である総本家市島家が約400年前に新発田藩主溝口候に随伴して移住し、そこから分家、創業した市島酒造。7代目蔵元として市島社長が大切にするのは、踏襲と進化のバランスだ。離れ座敷を「御茶処いちしま」として開放、さらに酒の会を通して古き良き日本文化を伝えている。

 一方で時代と共に変化している求められる味わいに対応するため、スパークリング清酒などにも取り組む。市島社長は海外展開により世界基準を肌で感じ、日本酒造青年協議会長を務めたことで全国の蔵元と出会い、学んだ。他県の蔵元が新潟に来て驚くのが「店で、普通に日本酒を飲んでいること」だという。「だから90もの蔵が存続しているのでしょうね。お客さまに飲んでいただけることのありがたさを再認識しました」と市島社長。これこそが新潟清酒の底力なのだろう。【高橋真理子】

[2016年4月30日付 日刊スポーツ新潟版掲載]