麒麟山酒造/阿賀町
「しぼりたてのフレッシュ感を楽しんでください」と長谷川製造部長

 12月に入ると麒麟山ファンは落ち着かない。「今年もそろそろ『ぽたり』の季節」と。今回の1本はこの「ぽたりぽたりきりんざん 純米吟醸原酒生」。迷わず選んだのは、杜氏の長谷川良昭製造部長。長谷川さんが製造部長になったのは09年。その前の5年間は製造部から営業部へ異動し、外から自社の酒を見つめ直した。現社長の斎藤俊太郎さんを中心に、当時の営業チームで企画したのがこのしぼりたての生原酒だった。

 新潟らしさをもたせつつ、時代の流れを読んだ商品。長谷川さんは商品企画に関わった後に製造部に戻り、前杜氏の下で試行錯誤を繰り返し、03年に「ぽたりぽたりきりんざん」がデビューした。「香り良し。すべり良く、旨みを口に残しながら、最後に切れていく」と説明する。しぼりたての生原酒でありながら、切れの良さで麒麟山らしさを主張している。

 原料米はすべて地元で栽培した「五百万石」を使用。95年に蔵元の呼びかけで発足した奥阿賀酒米研究会の生産者と、11年に社内に設置したアグリ事業部が協力し栽培している。地酒の正しいあり方として、地元産原料米100%での酒造りを目指す。

 酒の主原料である仕込み水にもこだわる。日々晩酌で楽しめる飲み飽きしない、伝統の淡麗辛口の酒を提供し続けるため、水源地の森林の保護活動にも尽力。さらに今年は新貯蔵棟となる鳳凰(ほうおう)蔵が完成。多彩な商品を展開していく中で、個々の酒に合うきめ細やかな管理が可能となった。定番の辛口シリーズから季節限定酒まで、さまざまな味わいに共通する「麒麟山といえば」という安心感が、日々の晩酌にくつろぎを運ぶ。【高橋真理子】

[2016年12月17日付 日刊スポーツ新潟版掲載]