ボテボテのニゴロが本塁打と同じくらいの価値になるときがある。日本ハムの延長10回無死一、二塁、渡辺の打席のシーンだ。守備側はフォースプレーとなり、送りバントがとても難しい場面で、ベンチも走者を進める上で、バントより打つ方を選択したと思う。

最低限、二塁走者を三塁に進めてほしいところで、右方向へのフライかゴロという究極の進塁打を求められた場面。立ち遅れて2球で追い込まれ、3球目も内角を攻められ、思わずバットを出してしまった形で空振り三振を喫した。

凡打でダブルプレーにならない方法は、一、二塁間の方向へ、バットの根元で折ってでも打球を転がすこと。カウントが追い込まれるまでは、真ん中から外角をしっかり振る準備をしながら、追い込まれたなら、内角球をバットの芯ではなく、どん詰まりでも転がす。この打席の渡辺は、もう少し違うアプローチがあったのではないだろうか。

渡辺はいろいろなシチュエーションが頭に入っており、1回の中犠飛は変化球にバットのヘッドを返さずに、犠飛狙いでうまく打ち返した。打撃も好調で犠打も決めるなど今季の成長が著しい選手。さらに高いレベルへ向かってほしい。(日刊スポーツ評論家)