日刊スポーツ評論家の里崎智也氏(44)のキャンプ取材沖縄編。反攻のカギをピックアップした。

楽天対ロッテ 視察に訪れた里崎氏(2021年2月13日撮影)
楽天対ロッテ 視察に訪れた里崎氏(2021年2月13日撮影)

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前年度Bクラスのチームが、どうやって弱点を補強しようと取り組んでいるか。そこに注目してキャンプを回っている。沖縄では雨にたたられたが、コザの広島、金武の楽天、名護の日本ハムに足を運び、限られた時間の中で取材してきた。

広島は新外国人選手に注目した。守備型ではなく、攻撃型クロンのパワーを確認することができた。かなりのプルヒッターで、低めのボールを左翼へガンガン運ぶバッティングには、エルドレッドのような力強さを感じた。これから外角球への対応、選球眼など実戦的な部分をチェックしていくことになるが、広島の攻撃陣に右の大砲が加わったことは大きい。

ランチタイム特打を行うクロン(2021年2月6日撮影)
ランチタイム特打を行うクロン(2021年2月6日撮影)

楽天は、捕手と外野の定位置争いが焦点になっている。ロッテとの練習試合で3年目の辰己が2安打を放ち、起用した石井監督の期待にすぐ応えた。中越え三塁打で見せた俊足を見ると、足のある1番打者の強みを感じさせる。こうして辰己が結果を出せば、外野を争うほかの選手の危機感も強まり、いやがおうにも競争が激しくなる。そうやって投手陣だけでなく野手も活性化できれば、おのずと底上げが可能になる。

楽天対ロッテ 4回裏楽天無死、三塁打を放ち足を滑らせる辰己(2021年2月13日撮影)
楽天対ロッテ 4回裏楽天無死、三塁打を放ち足を滑らせる辰己(2021年2月13日撮影)

そして日本ハム。やはり大黒柱の有原が抜けた枠をどうカバーするかが、最大のポイントになる。候補になりうるのが4年目の西村だろう。ストレートの速さを備え、力強さもある。まずは「西村ならこれだ」という武器を見つける必要がある。当然、長いイニングを求められるのだから、終盤になっても相手の主軸に力勝負できるようなスタミナをつけ「この球で打ち取るんだ」というボールを磨き、先発枠をつかんでほしい。

投内連係をする日本ハム西村(2021年2月8日撮影)
投内連係をする日本ハム西村(2021年2月8日撮影)

各球団の強化策がすべて計算通りに進むわけではない。多くの制約がある中、日常生活に注意を払いながら行っているキャンプだけに、昨年苦戦したチームは開幕に向け、ファンに今年の巻き返しを強くアピールできるよう、厳しい競争の中でチームを作っていってもらいたい。(日刊スポーツ評論家)