ここまでの阪神の好調ぶりは、リーグトップの得点力(135点)によるところが大きい。開幕から外国人がそろわない他球団に比べて、昨シーズンから残留したマルテ、サンズが機能したのが開幕ダッシュにつながった。外国人については投手にもいえる。

打線では新人佐藤輝が5回に貴重な適時打を放ったように試合の中で少しずつ成長を示している。しかも7本塁打を放っているのだから立派だ。マルテ、サンズに挟まれ、調子を上げてきた4番大山も絡んで強力打線を形成できた。

それにチーム好調の要因として見逃せないのが「2番糸原」の存在だ。わたしにも経験があるが、1番の次で、クリーンアップの前を打つ「2番打者」の立ち回りは非常に難しい。それを糸原は十分にこなしている。

糸原は1回1死から四球で出塁し、マルテ左飛の後の2死から二盗に成功。4番打者の大山に任せるのも手だったが、広島九里が投じた2球目にスタートを切っている。ベンチがセーフになる確率が高いと読んだ作戦だった。

糸原の二盗でチャンスを広げ、大山四球後のサンズが左前打で先制だから、まさに理想的だ。続く2回の糸原は2点目を挙げる右前タイムリーを放った。3割4分8厘の高打率はもちろんだが、投手から球数を稼ぐ働きも評価できる。

ただ試合運びでは、4回に近本が三安で出塁後、糸原が投ゴロ併殺に倒れた。あの場面は送りバントでクリーンアップにつないで、できるだけ早いイニングに3点目を奪いにいくべきだろう。いずれにしても糸原のしぶとい役割は貴重だ。(日刊スポーツ評論家)

阪神対広島 1回裏阪神2死一塁、糸原は二盗を決める。右は菊池涼(撮影・上山淳一)
阪神対広島 1回裏阪神2死一塁、糸原は二盗を決める。右は菊池涼(撮影・上山淳一)