西武の南郷キャンプは第1クール最終日。渡部、呉念庭、鈴木、岸の若手の打撃練習に注目した。どんな意識で取り組んでいるのか。しばらく見たが、正直に言って打球はそれほど良くない。ミート率が悪く、グシャッと詰まったり、バットの出だしは強くても打球が伸びない。ミスショットも目立つ。

西武春季キャンプ4日目、ロングティー打撃する渡部(撮影・浅見桂子)
西武春季キャンプ4日目、ロングティー打撃する渡部(撮影・浅見桂子)

しかし、気が付いた点がひとつある。それもとても重要なことだ。どの選手も実に力強くスイングしている。全力で振っている。キャンプ第1クールで、これだけ力を入れて振り続けているところにこそ、西武打線は侮れないと思わせるものがある。

これがコーチ陣の指示なのか、もしくは選手個々の自発的な取り組みなのかは分からないが、若手打者が総じて強く、力を込めてバットを振る姿は、たとえ打球が貧弱でも、見ていてぐっとひきつけられるものがある。

昨年は最下位に転落した。今季も投手スタッフだけを見れば、躍進するとは断言できない。隅田、佐藤という有望ルーキーはいるが、新人は計算できない。となると、やはり引っ張り上げるのは強力打線となる。

西武春季キャンプ4日目、松井ヘッドコーチ(奥)が見つめる中、ロングティー打撃する岸(撮影・浅見桂子)
西武春季キャンプ4日目、松井ヘッドコーチ(奥)が見つめる中、ロングティー打撃する岸(撮影・浅見桂子)

若手の愚直なまでに強く振る姿に、やはり西武ライオンズはそんなにやわな球団ではないと思わざるを得ない。ここに栗山、中村、源田、外崎などの主力が加われば、十分にペナントを戦っていける。

今の時期にこれだけ強く振れれば、打球についての修正はそれほど難しくはない。そうしたプロセスが分かっているからこそ、こうして振って、振りまくっているのだろうと感じた。(日刊スポーツ評論家)

西武春季キャンプ4日目、辻監督(右)が見つめる中、強化トレーニングする鈴木(撮影・浅見桂子)
西武春季キャンプ4日目、辻監督(右)が見つめる中、強化トレーニングする鈴木(撮影・浅見桂子)