阪神がペナントレース序盤を首位で乗り切った。開幕前の順位予想はばらつきがあったが、ここまでは上々の戦い。先週の対DeNA、広島6連戦は4試合が完封勝ちで、チームは貯金10にこぎつけた。

梨田昌孝氏(日刊スポーツ評論家) ここまでの阪神は「投手力」の安定感を見せつけた。大竹、伊藤将、ゲラらが出遅れたが、それに代わる戦力を起用すると、そのピッチャーが結果を出した。投手の戦力層が厚い。新人伊原が力を発揮したのも大きかったね。

伊原は1日の対広島戦(マツダスタジアム)で7回途中までを0封。球速145キロ前後のストレート、スライダーが120キロ台、カットボールは130キロ台後半、チェンジアップなど変化球が低めに制球された。

梨田氏 広島の各打者は「とらえた!」と思っても芯から外れて、ほとんどが差し込まれた。ちょっとだけ芯を外す球種、少し腕が遅れて出てくるフォームも功を奏している。ここまでの戦いでは各投手の特長を梅野、坂本がうまく引き出しているのが目につく。投手力といったが「バッテリー力」といったほうがいいかもしれないね。

広島戦では伊原から、湯浅、及川、ネルソンと継投し、8対0で大勝した。チーム防御率2・09はリーグトップ(先発=2・32、リリーフ=1・68)。ここまでの救援起用数では、巨人に次ぐ「のべ170人」のリリーフをつぎ込んだ。今後に影響を及ぼさないか。

梨田氏 伊原からのスイッチはリリーフした湯浅に対する信頼度が高いんだろうね。27日の広島戦(倉敷)で才木を7回途中で及川に代えたのも、いいタイミングの継投だった。シーズン途中で石井、桐敷ら中継ぎが戦線離脱しても、及川が台頭し、湯浅も出てきた。藤川監督はあまりリリーフに無理をさせず、うまく負担をかけない起用をしているよね。阪神の継投からは“先に手を打つ”という姿勢が伝わってくる。

打つほうは近本、中野の1、2番が機能し、この打順でエンドランをかける場面もあった。森下、佐藤輝、大山のクリーンアップが固定できている。当初、開幕は3番佐藤輝、4番森下だったが、4月中旬に入れ替えた。

梨田氏 個人的には4番は勝負強い森下が適任と思っていた。でも打順の並びを考えると、近本、中野、佐藤輝と左3人が並ぶのを避けたいのも分かる。佐藤輝は「4番」らしくなってきたし、打順がバッティングを変えたような印象が強いよね。

チーム178得点はリーグトップ、121失点はリーグ最少だから、投打がかみ合ったといえる。チームの戦法としては先制したときの22勝7敗だから「先制の虎」といえた。チーム19失策もリーグ最少にとどまった。3日からは“潮目”の変わりやすいセ・パ交流戦で、阪神OBの新庄監督率いる日本ハムと対戦。梨田氏は近鉄、日本ハムで監督として2度のリーグ優勝に導いた。

梨田氏 日本ハムも2戦連続のサヨナラ勝ちで、勢いのついた最高の形で交流戦に入ることになった。新庄監督の野球にはセオリーがない。当初はバントをしなかったが、最近はそうでもない。オーダーは流動的で、阪神はほぼ固定だから対照的といえる。ホームのエスコンフィールドで勝てない時期もあったが、最近は巻き返してきた。ホームランの出やすい球場だから長打力が決め手になるかもしれない。日本ハムは乗り出すと押せ押せでくる。面白い戦いで盛り上がるだろうね。

【取材・構成=寺尾博和】

2試合連続のサヨナラ勝利に笑顔でハイタッチする新庄監督(2025年6月1日撮影)
2試合連続のサヨナラ勝利に笑顔でハイタッチする新庄監督(2025年6月1日撮影)