「パワースポット」。辞書にはエネルギーや霊的な力が満ちている特別な場所、とある。ロッテの交流戦3カード目は名古屋ナイターだったため、午前中を使ってお隣、三重の伊勢神宮を参拝してきた。木漏れ日が神秘的な空間をつくりだし、軽いケガなら一瞬で治るんじゃないか、というような気さえした。

 さて鈴木大地内野手(28)である。プロ7年目の今季、思うようにスタートを切れなかった。4月には早々に3試合、4試合連続無安打があった。開幕から1カ月たった5月4日時点で打率1割台。現役時代には鈴木をベンチの隣に座らせ、内野守備や打撃のノウハウを伝授した井口監督も「こんなにシーズン最初からつまずいたことってないんじゃないですかね」と気に掛けていた。

 5月半ばになっても調子は上がらない。開幕から5番打者だったが、同17日には9番まで下げられた。ここで成績を見てみたい。今、6月7日時点で、今季最長の9試合連続安打中なのだ。つまり交流戦に入ってから、3カード全試合でヒットを打っている。

ヤクルト戦で適時打を放つ鈴木大地(2018年5月29日撮影)
ヤクルト戦で適時打を放つ鈴木大地(2018年5月29日撮影)

 このタイミングで何があったか。その1つに、伊勢神宮ならぬ「神宮球場」があるのではと思っている。交流戦のスタートはヤクルト戦だった。

 「僕自身、神宮で試合ができることがうれしい。しかも今回は、タイミング良く母校の優勝を見られた。僕もここをきっかけに、また良いスタートを切りたい」

 5月31日の試合前の談話だ。この日のナイター前、東洋大が東都大学リーグの優勝を決めた。鈴木は同リーグ中大卒の井上と、スタンドで一緒に母校の歓喜を見届けた。

亜大対東洋大の観戦に訪れたロッテの井上晴哉(左)と鈴木大地(2018年5月30日撮影)
亜大対東洋大の観戦に訪れたロッテの井上晴哉(左)と鈴木大地(2018年5月30日撮影)

 何せ強かった。鈴木の大学2年時から4年時を取材していた。春秋計8回あるリーグ戦で5回優勝。うち4回は全日本大学選手権2連覇など、その後の全国大会まで制している。もちろん攻守の中心選手だった。

 「本当にいい時に在学させてもらって。大学で優勝を経験させてもらったのは良かったと思ってます」

 「負け癖」という言葉があるなら「勝ち癖」もあっていい。勝利に慣れる。簡単にはできない、貴重な経験は武器になる。

 昔の曲を聞けば当時を思い出すように、母の味を食べれば童心に帰るように。鈴木は神宮に戻れば「打った」「勝った」「笑った」の記憶がよみがえるんじゃないだろうか。パ・リーグではめったにプレーできない場所だからこそ余計に。

 今年は4年連続で務めた主将の重責もない。責任感が強い性格なのは重々承知だが、誰にも負けないのは「野球が好きなところ」と答える鈴木が純粋に、楽しそうに打っているところを、もっと見たいなあと思った。【ロッテ担当 鎌田良美】