試合開始の10分前、スコアブックにスターティングメンバーを書き込んでいく。

1番近本、2番糸原…。当日のスタメン表もほとんど見ず、すらすら書き込むことが出来る。

阪神は今年、開幕から25試合で1番から4番の先発メンバーを変えていない。昨季は「1番糸井、2番近本」でスタートしたが、開幕3戦目には「1番近本、2番糸原」に変更。3番には9人が座るなど、打順は流動的だった。ここまで「3番マルテ」を固定出来たことを見ても、違いは明らかだ。

来日3年目のマルテは3番として、打線をつなぐ大きな役割を果たしている。「4番大山」の前に出塁することはもちろん、選球眼の良さは「2番糸原」にも好影響を及ぼす。糸原は開幕から11戦連続安打を放つなど絶好調。「後ろのマルテが球数を稼いでくれるので、逆に積極的に行けるところは行こうと今年は思っている。それがいい結果につながっていると思う」。自身の好調の要因を問われ、糸原はこう答えた。後ろに座るマルテがしっかり球を見極めくれるからこそ、初球から積極的に勝負できているという。

昨シーズン終了後、井上ヘッドコーチは3番を固定することの重要性を説いていた。「確かに今季は3番には苦労しました。例えばオーダーを組んだ時に、2021年は1番・近本、4番・大山、そして3番に誰々というように、1、3、4番は、スターティングメンバーの名前を書くところに印刷されているくらいの選手を、こちら側も作っていかないといけない。そういったものをできるようになれば、またグッとチーム力が上がるような気がします」。その言葉通りに、今年は開幕3連勝し、14年以来の8連勝を挙げるなど首位をキープ。つながる打線は、他チームの脅威となっている。【阪神担当 磯綾乃】

阪神マルテ(2021年4月21日撮影)
阪神マルテ(2021年4月21日撮影)