1歩ずつ確実に成長を重ねている。ヤクルト奥川恭伸投手(20)は5試合で1勝1敗、防御率5・00。一見物足りないように感じるが、5日阪神戦(神宮)で6回3安打2失点で、自身初のクオリティースタートを達成すると、16日中日戦(バンテリンドーム)では6回7安打1失点。2試合続けて結果を残した。

5日は1度も超えなかった150キロの壁を、16日は15度も超えた。「ここ(バンテリンドーム)と神宮のガンが違うと思うので、その差もあると思うんですけど、自分の感触的にはまずまず」。力感のないフォームから最速152キロの直球で中日打線を振り遅らせた。それに球速差をつけた2種類のスライダーに、140キロを超えるフォークを織り交ぜる。登板を重ね、打者を打ち取る方法が確立してきた。高津監督からも「成長しているね。間違いなくね」と高評価を受けた。

次世代のエースとして期待がかかる。それは自覚している。「そうならないといけないというか、そういうのを十分思っている。そこを目指してしっかり期待に応えられるように頑張りたい」と覚悟を口にした。

4月16日に20歳になった。「充実した1年にしたいです。すごいありきたりな…」といたずらっぽく笑ったり「お酒は飲んでみたいって気持ちはありますけど、そんなに飲まないと思います」と首をかしげたり。おっとりとした性格が垣間見えたが、最後には表情を引き締め「エースと呼ばれる存在になりたい」と話した。20年11月10日の広島戦、2回0/3を5失点で始まったプロ生活からここまで来た。それでも高津監督は「まだまだこんなもんじゃない」。奥川も高津監督も、もっと先を見据えている。【ヤクルト担当=湯本勝大】