<ソフトバンク2-0西武>◇11日◇ペイペイドーム

大粒の汗にまみれて、少しばかり目も潤んで見えたのは気のせいだったか。ソフトバンク東浜がノーヒットノーランを達成。その瞬間、笑顔と照れたような「巨スマイル」には、いろんな感情が交じっていたように思えた。

自慢のシンカーの切れがよく、上体を縦に投げ下ろすフォーム修正も体に染み込ませ、西武打線を手玉に取った。ホークスでは19年9月6日のロッテ戦(ペイペイドーム)で達成した千賀以来の無安打無得点試合。3年ぶりの快挙にヒーローは笑顔で応えた。

沖縄県出身者では初の快挙。誕生日の3日後に来る6月23日の「慰霊の日」は、どこにいても南の空に向かって手を合わせてから1日を迎える。生まれる前の壮絶な故郷の歴史を胸に刻み、プロでの活躍を誓って10年目。大きな勲章を手にした。まばゆい太陽の下で育った東浜だが、この2年はうつむく姿の方が多かったように思う。一昨年秋には右肩の不調。暮れには新型コロナウイルスに感染した。昨春は自主トレもままならず。端正なマスクには、ストレスからか、吹き出物ができた。体調管理のために管理栄養士と個人契約。届けられる食事も、なかなか喉を通らなかった日もあった。

苦労の日々は自身も驚く「快投」で報われたのではないだろうか。次回登板予定は18日の西武戦。東浜にとって3年ぶり故郷・沖縄での先発マウンドとなる。思い切り腕を振って、笑顔の日々を続けてもらいたい。【ソフトバンク担当 佐竹英治】