シーズン終盤、勢いに満ちた20歳が再昇格を果たした。9月15日オリックス戦(京セラドーム大阪)で、高卒2年目の日本ハム細川凌平内野手が「9番三塁」で昇格後即スタメン出場。今季初安打を放つと、翌16日同戦ではプロ初打点をマークした。小柄な体格を生かした足と、センスあふれる打撃。高いポテンシャルの開花が待たれる。

シーズン開幕前から強い信念を感じていた。「監督が代わったので、いろんなことが変化してくる空気に乗っていきながら、流されずに自分らしさを出していきたい」。担当スカウトだった林ヘッドコーチからは「守備をやっていたらバッティングもよくなる」と助言を受け、守備に重きを置いた。「新しい発見がありました」と手応えをつかみ、開幕に備えた。

レジェンドの背中を追いかけている。物心ついたときから元阪神の鳥谷敬氏(日刊スポーツ評論家)の大ファン。今夏には実家が営む京都の水上売店船「琴ケ瀬茶屋」に、テレビ番組のロケで鳥谷氏が訪問した。昨季の2軍戦では勇気を振り絞りあいさつに行くと、バットを手渡され「頑張ってね」と声を掛けられた。「これは使えません…」と、バットを握り締める手は熱を帯びていた。

「会えただけでも活力になる。見ていて昔と変わらずカッコいい」と感激しきり。智弁和歌山時代にはイチロー氏に指導を受けたことがあるが「イチローさんは憧れ。スーパースターは鳥谷さんです」ときっぱり。顔面骨折した翌日、試合に出た姿は衝撃とともに胸に刻まれた。「毎日試合に出ている難しさを知っているからこそ、ケガをしてでも試合に出続けられる。信頼あるプレーヤーに僕もなりたい」。

気概を感じられる姿からは、来季への期待を膨らませてくれる。来季からは、戦いの舞台を新球場エスコンフィールド北海道へと移す。新たなステージでの幕開けとともに、存在感を放っていく1人になることを願っている。【日本ハム担当=田中彩友美】