1973年(昭48)10月22日は何の日か知っておられますか? という話から書きます。

 「もう分かった」「しかも『ねごと』が書くことだし、あれだろ」というあなた、正解です。イチローの誕生日。今月22日で43歳になります。年齢をすぐ言えるのは自分と10歳違いだからという理由もあります。

 その日付に、もう1つ、大きな出来事があります。当時130試合制で行われたセ・リーグで、その最終戦、「勝った方が優勝」という途方もない状況での阪神-巨人戦が甲子園球場で行われた日でもあります。

 この年、V9(すごいですね、しかし、この数字)という前代未聞の連覇を目指す巨人と東京五輪イヤーの1964年(昭39)以来、9年ぶりとなるはずの優勝を目指す阪神が「世紀の一戦」で対戦しました。

 結果は阪神の完敗で巨人V9達成。怒りのあまり、グラウンド内になだれ込んだ阪神ファンから逃げるため巨人は胴上げもできなかった。その場面、10歳の私はテレビ中継で見ていました。カークランドがボール球を空振り三振した場面を覚えています。

 そんな日に生まれたイチロー、23年後の96年、仰木彬監督率いるオリックス・ブルーウェーブの看板選手としてミスター長嶋茂雄率いる巨人を倒しました。巨人中心のプロ野球を変えていく大きな要素となったといってもいいと思います。

 そして、今、イチローは絵空事を現実に変えようとしています。オリックス連覇の95、96年ごろ、私は「正月原稿」で「イチロー51歳現役説」という記事を書きました。

 この「正月原稿」というのがミソ。当時は球界に動きのない正月の紙面に、ボツになってもいいぐらいのつもりでいろいろな原稿を書いたものです。

 その中でチーム・トレーナーらに取材し、「イチローは背番号と同じ51歳までプレーできるのではないか。本人もそれを狙っている」という記事を書いたのです。まさか大リーグの選手として…とまでは予想できませんでしたが。

 周囲からは「あほなこと書いとるな」と言われましたが、当時のデスクは「おもろいやん」と紙面化してくれました。

 あれから20年以上が経過し、イチローはこの日、新たなステップを迎えました。すでに報道されている通り、所属するマーリンズは5日(日本時間同深夜)、イチローとの契約延長を発表しました。新たに18年も契約するオプションが付いたということです。

 これで、10月に45歳になるシーズンまでプレーする可能性は極めて高くなりました。ここからがしんどいのだけれど、でも50歳も夢ではない。さらに個人的には50ではなく、51歳までの現役を狙ってほしい。

 その名声、才能、リッチマンぶりをうらやましく思う人は多いでしょうが、イチローは現役を続けるため、夜遊びとか不摂生とか、一般人ならたやすく手に入れられるような多くのものを捨てて生きています。

 かつて自分で言っていたように「ありったけの自分を野球に注ぎ込んでいる」ような男だからこそ、51歳までやってほしいと思うのです。