来年の甲子園でも、名バッテリーが躍動しそうだ。26日に行われた秋季関東大会準決勝で、高崎健康福祉大高崎(群馬)が優勝候補の東海大相模(神奈川)を破った。

決勝進出の原動力は、大型左腕・下(しも)慎之介投手と戸丸秦吾捕手(ともに2年)のバッテリー。中学で所属した高崎ボーイズ時代からもう5年以上、コンビを組んでいるという。下は戸丸の配球に絶大な信頼を寄せる。「言われた通りに投げているだけです。でも、実際にこうやって抑えているので、すごく考えてくれているんだな」と相棒に感謝し、笑った。

相性と信頼に加え、相棒は下調べも怠らない。全国屈指の破壊力を誇る東海大相模打線を配球で手玉に取り、6回までで12度も空振りさせた。戸丸が日本シリーズをテレビ観戦し、ソフトバンクの千賀-甲斐バッテリーの内角球の使い方を研究し、強力打線対策に生かしたという。

上には上がいる。ともにドラフト指名された星稜(石川)の奥川恭伸投手と山瀬慎之助捕手(ともに3年)は、小学校時代からのバッテリーとして話題になり、甲子園を騒がせた。「奥川さんと山瀬さんが9年間組んでいるというので、負けられないなと思っています」と戸丸は言う。

決勝進出で、来春センバツ出場に当確ランプが灯った。あこがれの聖地で、奥川-山瀬に負けないような名バッテリーを目指す。そういえばエース下の名前は「しんのすけ」。巨人に入団する山瀬と同じだ。

「しんのすけ」の由来も同じ、巨人を引退したばかりの阿部慎之助捕手。下は「まだ自分が母のおなかにいる時、巨人ファンの父が観戦に行ったら阿部さんが本塁打を打って、それで名前を決めたみたいです」と笑う。命名エピソードまで山瀬そっくりだ。

まとめると「阿部慎之助にちなんで命名された下慎之介が、山瀬慎之助(こちらの名前も阿部慎之助にちなむ)のような強肩捕手と幼なじみバッテリーを組み、甲子園での活躍を目指す」。

ちょっと複雑ながら、何やらストーリーを感じさせる2人。なお、下は最速141キロで、戸丸は二塁送球1・79秒を誇る強肩。実力でも話題になりそうなコンビだ。【金子真仁】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)