勝って涙、負けて涙の早慶戦となった。早大は1-2で迎えた9回2死一塁から、蛭間拓哉外野手(2年=浦和学院)が逆転2ラン。その裏を楽天ドラフト1位指名のエース早川隆久投手(4年=木更津総合)が抑え、15年秋以来10季ぶりの優勝を果たした。優勝46回は法大と並ぶリーグ最多タイ。無敗Vは03年秋(10戦全勝)以来2回目だ。劇的な結末に、早大ナインも、慶大ナインも涙が止まらなかった。

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早川には昨秋リーグ戦から続けたことがあった。3アウト目を奪い攻守交代となっても、すぐには引き揚げない。ベンチ前の最前列で野手を出迎えた。ファインプレーがあれば、よく見かける光景だが、次の攻撃ですぐに打席が回らない限り、必ず野手全員が引き揚げるのを待った。守ってくれた感謝を伝えるためだ。

尊敬する先輩にならった。昨夏の日米大学野球で代表に選ばれ、明大・森下と行動を共にした。「自分の投球が全てかもしれないけど、守ってくれる野手がいるから抑えられる。お前が気遣いをすれば、野手も頑張ってあげようとなる。感謝を伝えるのも投手の仕事だよ」と言われた。法大2回戦に続き、リリーフ登板した直後に打線が得点。感謝の気持ちは、確かに野手に伝わっていた。

1年早くプロ入りした先輩は広島で活躍。新人王の筆頭候補となった。早川もドラフト指名直後「新人王」を掲げた。次のステージでも、好投手の系譜に連なるつもりだ。【古川真弥】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

10月11日、東大戦で好守を見せた丸山に笑顔で拍手をおくる早大・早川(左)
10月11日、東大戦で好守を見せた丸山に笑顔で拍手をおくる早大・早川(左)