日本代表の「弟」が、地元開催のW杯で濃密な時間を過ごした。唯一、2年生で日本代表に選出された末吉良丞投手(沖縄尚学)は、先輩らに劣らぬ結果を残して準優勝に貢献。日本の高校生で一番長い夏を過ごした。

マウンドでの表情と違い、練習中には笑顔が絶えなかった。まさに和気あいあいとの言葉がぴったりだった。同じく日本代表に選ばれた3年生からよく声をかけられていたが、奥村頼人投手(横浜)とは特に仲が良かった。奥村頼が大会中にこう明かしていた。

「比嘉監督に会ったときに『末吉を頼むよ』と言われて、末吉を弟のようにかわいがっています。(末吉が)トム・ブラウンのみちおに似てるんで、みんながみちおって言っています。末吉がよくないときは、相方のギャグのまねして『ダメー』と」

9月2日の沖縄県選抜との壮行試合で、沖縄県選抜の指揮を執った沖縄尚学の比嘉公也監督(44)から声をかけられていた。末吉は日本代表内では「みちお」とのあだ名で愛された。練習中などでミスがあれば相方布川ひろきがみちおにかますギャグのように「ダメー」と言いながら、突っ込まれた。末吉もまた、奥村頼らがミスをすれば「ダメー」と突っ込んだ。

一方で、マウンドでは堂々たるピッチングで「ダメー」と言わせなかった。1次ラウンド最初のヤマ場となった韓国戦やスーパーラウンドの米国戦、そして米国との決勝戦と重要な試合で先発を任された。3試合に登板して防御率1・80。今夏甲子園胴上げ投手の実力を見せつけた。

日本代表に選ばれた他校の3年生との時間は貴重な時間となった。「やっぱり一番は各選手のモチベーションの高さと野球に対するひたむきな感じが印象的でした」。一緒に過ごす中でさまざまなことを肌で感じた。

また、「弟」のようにかわいがってもらった奥村頼には「普段関わることができない横浜高校さんの奥村頼人さんに面倒を見てもらって、そういうところでやっぱいろんなところを吸収できた」と感謝した。表彰式後には、名残惜しそうに2人で写真におさまった。

末吉はまだ2年生。沖縄尚学に戻れば、早速来春センバツへ向けた戦いが始まる。「地元開催での世界大会に出場することができて、いい経験になった。ピッチャーは点を取られなければ負けないスポーツ。そういう言葉をしっかり形にできるように日々の練習から取り組んでいこうと思います」。世界の舞台で投げた経験を武器に、さらなる成長を期す。【林亮佑】

胴上げされる日本・末吉(撮影・鈴木正人)
胴上げされる日本・末吉(撮影・鈴木正人)
米国対日本 力投する日本先発の末吉(撮影・鈴木正人)
米国対日本 力投する日本先発の末吉(撮影・鈴木正人)