この日は藤川球児だったか。救援陣が崩れてのカード3連敗。15日の1戦目はジョンソン、前日16日の2戦目は小野泰己がサヨナラ押し出しだった。鉄壁を誇っていたブルペンが打たれての3連戦はきつい。

打線もこの日は4安打を放った4番打者・大山悠輔を中心に必死さを見せ、先手を奪ったが失点がそれを上回ってしまった。ここに来て、投打のかみ合わせが悪くなっている。まさに連敗中という感じだ。

悪い話ばかり。それでもほんの少しだけ光明も差していると書きたい。阪神が12球団でもっとも失策が多いことはよく話題になる。この日まで72失策だ。同時に守備面で突出して多い数字がある。それは阪神の「補殺」(ほさつ)数だ。

「補殺」。野球通でないとなじみのない用語かもしれないが、例えば遊撃手がゴロを処理し、一塁へ送球。打者をアウトにしたとき遊撃手に補殺がつく。

この補殺数が阪神は16日現在で1043。4桁の大台を超えているのはこれも12球団で阪神だけだ。補殺は外野手が“レーザービーム”で走者を殺してもつくが基本的に先に書いたようにゴロを処理して、記録されることが多い。

前置きが長いが、要するに阪神は内野ゴロで打者をアウトにするケースが多いということになる。だから失策も多い…とは言えないのだが。なぜ、こういうことになっているのか。

「それはバッテリーが頑張っているからでしょう。投球を低めに集めてゴロを打たせている。バッテリーはきっちり仕事をしている。それをこちらはしっかり処理しないといけないんだけどね」。内野守備走塁コーチの久慈照嘉が先日、そんな話をしていた。

ゴロと言えば16日に好投したが勝てなかった岩田稔が思い浮かぶ。この事象について岩田はどう思っているのだろう。

岩田 ボクにはゴロを打たせろというのがチーム方針。ボクもそれしかできないし、たくさんゴロを打たせ、いいリズムで守ってもらえればチームにもボクにもいいこと。自分ではそう思っています。

長打が出ないように低めをついてゴロを打たせ、しっかり守る。阪神にディフェンスの基本は、ある。連敗中だがこの5試合で失策はない。上位チームに離され、Bクラスに転落しても、やるべきことをやり続ける。浮上の道はそんな姿勢から見えてくる。(敬称略)

8回裏、マウンドへ向かう阪神3番手の藤川(撮影・森本幸一)
8回裏、マウンドへ向かう阪神3番手の藤川(撮影・森本幸一)