虎だ虎だ虎になれ!

重苦しい阪神 明るく戦うはずではなかったのか

<中日4-2阪神>◇20日◇ナゴヤドーム

ナゴヤドームで思い出すことの1つに黄金時代を築いた元中日指揮官・落合博満との会話がある。落合は試合前、グラウンドをならすローラーがついた機械の上にまたがって練習を見守ることがあった。08年だったと記憶するが歩み寄ってあいさつすると「おう…」と言って話を始めた。

中日対阪神 試合終了、連敗しがっくりと引き揚げる矢野監督(撮影・森本幸一)
中日対阪神 試合終了、連敗しがっくりと引き揚げる矢野監督(撮影・森本幸一)

当時の落合は新聞記者にあまり話をしないことで知られた。それでも1人で話し掛ければ口を開くときもあったし、監督になる前、日刊スポーツ評論家だった時代には雑談のようなこともしていた。そのときも同じ感じだった。

くわしくは書かないが、そのとき落合は当時の岡田彰布率いる阪神について「守りをどう見ているんだろうな」などと話した。めずらしく他球団のことを口にするので「まさか狙ってるんじゃないでしょうね。阪神の監督を」と思わず口走ってしまった。

ニヤリとするので「それは勘弁してください」と焦った。落合は「なんでだよ」。もちろん落合にその気があったわけでも狙っていたわけでもないのだが、たかが一記者に“拒否”されるのは気分が悪かったろう。それ以前にこちらに何の権限もないのだから拒否も何もないのだが。申し訳ないけれど、そう言ってしまったのには理由がある。

「落合監督の流儀で阪神で指揮を執られたら虎番記者はたまりませんよ。虎番は試合のない日でもたくさん記事を書かないとダメですし」。落合流はとにかく情報統制が厳しかったし、選手の負傷状況などについても明かさなかった。それでは困る、とまったく手前勝手な雑談ではあった。

もちろん、いろいろなスタイルはあっていい。実際に落合中日は強かった。それでも、やはりメディアにとって苦しい状況だったろうし、その向こうにいるファンがもやもやすることもあっただろう。こちらの印象かもしれないが、正直、重いムードも感じていた。

そして今の阪神だ。重いと思ってしまう。下位に連敗だから当たり前だが、それにしても重苦しい。指揮官・矢野燿大は今季のキャッチフレーズ「It's 勝笑 Time! オレがヤル」の下、明るく戦うはずではなかったのか。「矢野ガッツ」という言葉はどこの話かと思う。連敗して明るくはできないだろうが、采配を含めて指揮官自らチームを乗せていかないとなかなかムードも結果も上昇しないと感じる。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

中日対阪神 7回裏中日2死二塁、ピンチを招いた桑原(右から3人目)のもとに集まる阪神内野陣(撮影・上山淳一)
中日対阪神 7回裏中日2死二塁、ピンチを招いた桑原(右から3人目)のもとに集まる阪神内野陣(撮影・上山淳一)

記者生活30年超の高原寿夫・編集委員が、今シーズンの矢野タイガースに鋭く迫ります。

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