久しぶり、と思った光景は1回だ。2点を先制され、その直後。近本光司が左前打で出た。続くは中野拓夢だ。1球目はセーフティーバント。これがファウルに。そしてフルカウントまで進んで左前打が出た。ここから6連打、一挙6得点で逆転に成功するのだ。
「(セーフティーバントは)サインです。ファウルになったんで、そこからずっと打てのサイン。なんとか走者を進めようと思って。なんとか転がそうという感じでした。得点圏ですごく打つ打者が控えているので、繋ぐ、繋がないで全然違いますし」
中野は率直に話した。現在の阪神打線は森下翔太以下、クリーンアップの得点圏打率が高いので走者を置いて、回ると期待が高まる。ここで「久しぶり」というのは1回に近本、中野の連打が出たことだ。日本一に輝いた昨年はよく見た光景。でも最近はなかったなと思い「日刊テーブル」を張っているノートを繰る。最後にこの連打があったのは7月19日の広島戦(甲子園)。後半戦は初だ。
近本が3番や4番を打ったりした時期もあったので「チカ・ナカ」で1、2番に並ぶ時期自体がなかった面もある。それでも、やはり、これが出ると阪神は強いな、つながるなという感じだ。後半戦、指揮官・岡田彰布は堅かった。近本が出れば中野にバントという場面が続いたのである。後半戦最初はそれが奏功し、8連勝にもなったのだが。その意味で、この日に限れば村上頌樹の1回2失点は打線の反発力を生んだような気もする。
阪神打線が得点した場面以外で甲子園がわいたのは他球場の試合途中経過が紹介されたときだ。みんなスマホで進捗(しんちょく)状況は知っているだろうに、広島が、巨人がリードを許していることがビジョンに出ると盛り上がる。
それにしても広島がDeNAに連敗したのは少し「ほお」という感じである。広島は8月、連敗がなかった。きょう負けたら明日勝つ…ということを繰り返してきた。だから強い。連敗は7月27、28日のヤクルト戦以来なので「チカナカ」の連打ぐらい久しぶりだ。
ついでに言えば中野は5、6回に2イニング連続失策というめずらしいところも見せた。「バウンドがあってなかった。練習から考えながらやっていきたい」と反省。佐藤輝明だけでなく、失策を続けるのは勘弁してほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




