首位快走の阪神は広島を1-0で下し、貯金を今季最多「21」とした。残りは50試合。仮に25勝25敗の5割で終えても81勝60敗2分け、80勝の大台に乗る。この日はバンテリンドームで中日が逆転勝ちし、優勝マジックこそ点灯しなかったが、テレビ解説で甲子園を訪れていた前監督・岡田彰布(オーナー付顧問)の言葉を借りれば「もうマジックとかは関係ないでしょ」という状態である。

投げては広島キラーの大竹耕太郎が7回を無失点で切り、石井大智から岩崎優の継投で0封。打ってはここに来ていぶし銀の魅力を大いに発揮する大山悠輔の先制決勝打と、安定の試合運びだった。

とはいえ、いつも書くけれど勝負は“紙一重”だ。この試合も1点リードの7回には、味方の失策をきっかけに無死満塁の大きな危機を迎えている。言うまでもなく勝負に「たられば」はないけれど、広島の代打・野間峻祥が最悪の「1-2-3」併殺打を放っていなければどうなっていたことか…とは思う。

そう感じさせるのは攻撃陣の淡泊さというか、粘りのなさのようなものがあったからか。3回に3番・森下翔太が左前打を放った後、最後の8回まで打者21人連続で安打はなかった。7回には相手失策、四球で追加点のチャンスをつくったものの「あと1本」が出なかったのである。

ハッキリ書けば、現在、どん底状態にある広島が相手でなければどうなっていたか…という気もしてしまう。もちろん、広島をこの状態に追い込んだのは今月8日からの敵地3連戦で3連勝した阪神だと思う。自分たちでもたらした結果とも言える。

それでも、これから、まだ長い先があるのだ。首尾よく優勝を決めたとしてもクライマックスシリーズ、そこを勝ち抜けば強いパ・リーグ球団との日本シリーズが待つ。常に理想的な戦いができるとは限らないが、好投手・床田寛樹をしっかり攻略できれば、さらによかったということだ。

「スミ1というやつですか。チームとして、また少し強くなるきっかけになるゲームだと思いました」。指揮官・藤川球児はこの試合を振り返り、そうとらえた。それも正解だろう。今季の優勝はもちろん、残り50試合でどこまでチーム力を、来季以降につながる戦力をグレードアップさせていけるか。それも球児に課せられた課題である。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)