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野球好き一般人が激論交わすハバナの中央公園

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<カリブの野球国を歩く 1:キューバ編1>

 140年もの歴史を誇る大リーグでは、今や選手の約3割が米国本土以外の出身者で占められる。中でも、カリブ海に浮かぶ島国から多くの人材が輩出されている。その地域を代表する野球大国が、アマ最強と称されたキューバと、前回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を制したドミニカ共和国。野球熱が高い両国の野球事情をリポートする。第1回は、時代の波に揺れながらも、古き良き野球文化を残しつつ新時代に向かうキューバの首都ハバナを歩いた。

(2016年4月5日付紙面から)

「エスクイナ・カリエンテ(ホット・コーナー)」に集まる人たち。「ニッポン」のTシャツを着ている人も
「エスクイナ・カリエンテ(ホット・コーナー)」に集まる人たち。「ニッポン」のTシャツを着ている人も

 キューバの人々は、野球談議が大好きだ。首都ハバナ旧市街のど真ん中にあるパルケ・セントラル(中央公園)にはたまり場があり、そこに行くと必ず野球好きの論客たちに会える。彼らはほぼ毎日、誰からともなく自然に公園の一角に集まって熱い議論を繰り広げており、その集いの場は「エスクイナ・カリエンテ(ホット・コーナー)」と呼ばれる。日本のメディアに取り上げられたことはほとんどないが、海外でキューバの名所といえばこれが挙げられるほど、有名な場所だ。

 集まる人々は、選手のプレーや監督の采配について、ときにつかみ合いになるのではと心配になるほど激しく議論を戦わせる。しかし、どんなに意見が対立してもけんかをせず、翌日まで引きずらないという暗黙のルールがあるそうだ。

 意見を強く主張するのは、それだけ野球への愛情が深いという証明でもある。社会主義国だから自分の意見を言うことができないというイメージを持つ人は多いが、みんな自由に意見を言い合っている。日本から来たと告げると「日本の選手、知ってるよ。サダハル・オー!」と笑顔で言葉が返ってきた。ファンは国際試合も非常に熱心に見ており、会話ではWBCなどの話題も出てきた。

革命博物館前に展示されている戦車。ハバナ市内には歴史的記念物が多い
革命博物館前に展示されている戦車。ハバナ市内には歴史的記念物が多い

 ハバナの街では、ニーノという男性と知り合った。彼は若いころレスリングをしており、スポーツの国際交流で日本の野球選手とも知り合いだという。昨年11月のプレミア12も熱心にテレビ観戦したといい「キューバ代表はダメだったけど、野球はまだ人気だ。友だち同士の会話にも、いつも野球の話題が出る。僕の友人はリーグ戦の日程を完璧に頭に入れているくらいだ」と話してくれた。有望選手がメジャーを目指して次々と亡命する昨今の状況について聞くと「高いレベルでプレーして高額契約金をもらうのはいいことだよ」と理解を示した。流出を失望するより、応援する気持ちの方が強いらしい。

キューバの名物クラシックカー。ハバナのパルケ・セントラル(中央公園)脇にずらりと並ぶ
キューバの名物クラシックカー。ハバナのパルケ・セントラル(中央公園)脇にずらりと並ぶ

 それでも16年2月、元DeNAで日本でも人気のあったユリエスキ・グリエル内野手(31)が弟ルルデスとともに亡命したことは、国全体を激震させたという。野球一家に生まれ、長年にわたって代表の「顔」でもあったグリエル兄は特別な存在だった。同国ではこの2年間で、約240人の野球選手が亡命した。一般国民は選手が国を離れることにすっかり慣れていたが、グリエル兄の亡命だけは別次元の話。国内メディアの80%がグリエル兄に批判的で、国民の間でも賛否両論の論争になった。人材流出が止まらないキューバの野球界は今、大きく揺れている。(つづく)【水次祥子】

 
 

 野球の魅力を様々な角度から分析した長期連載。日本のプロ野球、高校野球、さらには米大リーグに広くテーマを求め、選手だけでなく審判や関係者への綿密な取材を基に、野球担当記者が執筆した。

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