駒大苫小牧が“歴史的1勝”で4年ぶりの優勝へ王手をかけた。帯広大谷との準決勝は8-8の同点で延長12回終了後、大会規定により北海道大会初のタイブレークに突入。タイブレーク13回2死満塁で、6番安田匠吾三塁手(3年)が適時中前打を放ち、サヨナラ勝ちを収めた。

 駒大苫小牧が15年の新ルール導入後初のタイブレーク戦を制した。13回2死満塁、安田匠は2球目、高め直球を迷わず振り抜いた。9回2死二塁の好機では中飛を打ち上げ凡退。「初球は変化球でボール。満塁だし次はストレートでストライク。前の打席で失敗していたので、切り替えてゴロを狙おう」と、たたきつけた打球は一直線に中前に抜け、勝利が決まった。

 無死一、二塁から攻撃を始めるタイブレーク。独特な駆け引きが勝敗を左右した。13回表は1死満塁から相手得点源の3、4番を打ち取り無失点。後攻の佐々木孝介監督(33)は先頭打者を3番仁和に設定し、通常なら打席に入ってからサインを送るが、ベンチで早々にバントの指示を出した。仁和は「先にゼロで抑えたのが大きかった。打席に行くまでに時間があり気持ちを整理できた」と振り返る。結果は投手失策を誘い無死満塁。1点で勝てる状況にした心理的アドバンテージが、最後の流れを引き寄せた。

 トラブルも乗り越えた。2番手で投げたエース工藤稜太(3年)が、自打球を左足に当て6回で途中降板。決勝打の安田匠は「稜太の分まで一丸で勝たないとという思いだった」と6打数4安打3打点と爆発した。工藤に代わり7回から登板した山彰太(3年)は、7-8で迎えた12回2死二塁から値千金の同点左越え二塁打を放ち、劇的勝利をお膳立てした。「みんなが点を取ってくれるのに簡単にアウトになるわけにはいかなかった」。投打の絆が大きな力を生み出した。

 初戦の東海大札幌、2回戦札幌第一に続き、難敵相手に3戦連続逆転勝ち。土俵際で跳ね返せる「逆転の駒苫」復活で、13年秋以来10季ぶりの全道王座をつかみ取る。【永野高輔】