第99回全国高校野球選手権大会(7日開幕、甲子園)の組み合わせ抽選会が4日、大阪市のフェスティバルホールで行われた。3季連続甲子園4強の秀岳館(熊本)は、第4日第2試合で横浜(神奈川)との対戦が決定。最速148キロ左腕コンビの田浦文丸投手と川端健斗投手は、相手の主砲増田珠外野手(いずれも3年)ら強力打線を歓迎し、初の全国制覇へ自信をのぞかせた。

 この日一番の拍手に包まれ、壇上の組み合わせ表を客席から見つめた秀岳館ナインが笑った。数分間空白だった、隣のスペースに掲げられた「横浜」のボード。就任4年目の鍛治舎巧監督(66)は「今の高校野球を代表するような試合をしたい。日本一を目指した練習の証明をできたら」と春夏5度の優勝を誇る強敵との初対決を歓迎した。

 前向きなのは、選手も同じだった。今大会から背番号1に昇格した田浦は、神奈川大会5本塁打の増田をイメージし「下手に逃げたりしない。最初から飛ばしていく」とキッパリ。指揮官は「1人で抑えられるほど甘くない。継投ですね」と予想し、背番号10の川端には「全国的に有名な高校。自分の投球が通用するのか楽しみ」とほほえむ余裕がある。

 対戦経験こそないものの、鍛治舎監督は昨年から横浜の戦いを映像で追ってきた。元解説者らしく「ファンなので」と笑うが、増田の打撃を熟知しているのは当然のこと。相手の1年生左腕の及川雅貴投手でさえ「中学時代から追いかけている」と明かす徹底ぶりだ。自身は突発性不整脈による入院で熊本大会準決勝、決勝の指揮を執れなかった。「監督を甲子園へ」で結束した教え子は、これまで以上にたくましく、チームに隙は見当たらない。

 春は準決勝で大阪桐蔭に敗れ、3季連続で決勝を逃した。横浜を倒せば、2回戦でいずれも甲子園優勝経験を持つ広陵(広島)と中京大中京(愛知)の勝者が待つ。田浦の第一声は「有名で、憧れるチームと甲子園で当たれる」。秀岳館はぶれずに堂々と、全国制覇に突き進む。【松本航】

 ◆過去の横浜-秀岳館 甲子園では01年夏の3回戦で対戦。横浜の左腕エース畠山太(3年)が被安打4、11奪三振で完封して8強入り。渡辺監督は甲子園通算30勝目を挙げた。