旭川地区の代表決定戦2試合が行われ、旭川実は6-1で旭川大高に逆転勝ちし、2年連続15度目の全道大会出場を決めた。同点の6回、笹原颯太捕手(2年)の走者一掃の三塁打で勝ち越した。道内10地区全20代表が出そろい、全道大会(10月1日開幕、札幌円山ほか)の組み合わせ抽選は明日22日に行われる。

 旭川実の“頭脳”が攻守でチームを支えた。笹原が、1-1で迎えた6回2死満塁、右中間に決勝の適時三塁打を放った。さらに捕手として、巧みなリードでエース坪井陽汰(2年)を完投に導いた。「坪井が頑張っていたので何とか打てて良かった」と2年連続の地区突破を喜んだ。

 相手の旭川大高は今夏、スタメン9人中2年生8人で北大会4強入り。抽選で経験豊富なライバルと同じブロックに決まると、その日から対策を始めた。得意科目の数学で学年トップクラスの笹原が相手を分析。配球について毎日、坪井と話し合った。打者の得意コース、スイングの特徴を完璧にインプット。3戦22得点の好調だった相手打線を1点に抑えた。

 攻撃でも相手の最速145キロ右腕沼田翔平(2年)を攻略した。今月から150キロに設定した打撃マシンを約2メートル手前に置き、打ち込んだ。笹原は「重要な場面で直球がくる」と、狙いい澄まして決勝打につなげた。

 ナインの帽子のつばの裏に「俺が引っ張る」と書かれている。新チームはリーダー格不在。先頭に立つ意識を個々が強く持つ。口下手の笹原はプレーでけん引。ムードメーカーの田口凌太郎捕手(2年)は試合前、緊張気味のレギュラーに「圧勝しろ!」と活を入れ、リラックスさせた。全力で役割を果たした。

 昨秋の全道大会は初戦敗退。最後にセンバツ出場したのは06年だ。「甲子園を狙いたい」と笹原。勢いに乗って円山に乗り込む。【西塚祐司】