立命館慶祥が7-0で北広島に8回コールド勝ちし、14年ぶりに初戦を突破した。2番川村康輔右翼手(1年)が1安打2得点と活躍。1-0の6回1死一、三塁では一塁走者の挟殺プレーの間に生還する好走塁を見せた。札幌開成OBで88年夏の甲子園に出場した父裕樹さん(47)に続く聖地を狙う。

 足で流れを引き寄せた。1点リードの6回1死一、三塁。立命館慶祥の川村は相手の隙を逃さなかった。一塁走者大橋淳平(2年)が飛び出し相手が挟殺プレーに入った瞬間、動きだした。50メートル6秒1の快足で本塁にダッシュ。捕手のタッチをかいくぐり、生還を果たした(記録は重盗)。「思い切って走って良かった。セーフになる自信はあった」。チームは5回まで1安打に抑えられていた。横山蔵人監督(56)は「相手のペースを乱すことができた」と好走塁に感心した。

 甲子園球児だった父の助言で今がある。父裕樹さんは88年夏に札幌開成(現札幌開成中教校)の4番として甲子園に出場。小中学時代はチームの監督、コーチとして指導を受けた。小学6年生の時は下級生中心で勝てずに悩んだ時期があった。だが「野球を楽しめ」というシンプルな助言で迷いを吹っ切った。

 親子2代、文武両道で聖地を狙う。進学校の札幌開成の快進撃は当時、「ミラクル開成」と呼ばれた。立命館慶祥もまた進学校。父からは「野球も勉強も積み重ねが大事」と言われ、励みにしている。「試験は大変ですけど頑張ってます」と話した。

 この日は、父と、3年前に主将を務めたOBの兄健太郎さん(立命大3年)も京都から駆けつけ応援した。2回戦では釧路明輝と対戦する。「次も勝たないとセンバツはない。1試合1試合全力で戦いたい」と川村。家族の思いも背負い、聖地に向かって走り続ける。【西塚祐司】