5年連続出場の札幌第一が、昨秋4強の札幌日大に11-0で快勝し、春は90年以来28年ぶり2度目の優勝を飾った。4番の柴田颯主将(3年)が1回2死二塁で先制の左中間適時二塁打、3回2死一塁で中押しの右越え2ラン、8回1死二、三塁で中前適時打と3安打5打点の活躍でチームをけん引した。主砲を中心に全道大会4戦計47安打37得点と打線が爆発。猛打で16年秋以来4季ぶりの頂点に返り咲いた。

 誰も止められなかった。札幌第一が豪快な攻撃野球で復権ののろしを上げた。地区から7戦で計87安打65得点、1試合平均12安打。ひたすら快音を鳴らし、決勝も11安打11得点の大勝で28年ぶり春王座に返り咲いた。菊池雄人監督(45)は「主将が打つとチームが乗る。柴田の先制点が大きかった。中心選手がしっかり仕事をしてくれた」と喜んだ。

 頼れる4番だ。1回2死二塁、柴田は左中間を真っ二つに割る先制適時二塁打を放つ。2-0の3回2死一塁では右翼ポール際に消える通算13本目の右越え2ラン、8回にはダメ押しの2点適時中前打と畳みかけた。スイッチを入れ、とどめも刺し「自分たちらしい野球を決勝でも出せたのは良かった」と振り返った。

 昨秋は立命館慶祥との地区代表決定戦で敗れた。5-13と大敗し、自身も4打数無安打。冬場は苦手な変化球の対応に時間を割き、1人黙々とバットを振った。この姿勢が周りを動かした。1番佐々木凌(3年)は「柴田頼みのチームになっていた。負けてられない」と、チームでのティー打撃を増やし、スイング力を徹底して上げることに専念した。この日は1番佐々木から4番柴田まで4人で11打点。17年センバツを知る主砲のストイックさが、打線を覚醒させた。

 柴田は全道大会に入ってからも貪欲だった。旭川実との準々決勝では、相手左腕から5打数で初回の1安打のみ。問題解決のため、高校に戻り、自主練習した。「体が開き気味だった」。この日は左腕の変化球という最も苦手な球を軽々とスタンドに運んだ。

 菊池監督は「口べたで、冬までは背中で引っ張るタイプだったが、春先からは言葉に重みが出てきた」と言う。主将の成長を追いかけるように、チーム全体がパワーアップ。秋の地区敗退からよみがえった札幌第一が、次は12年以来6年ぶり夏の甲子園に、照準を定める。【永野高輔】