<高校野球東東京大会:関東第一14-4日大豊山>◇20日◇5回戦◇神宮

 身体能力の高い選手は、もっと捕手に挑戦してみてはどうか。高校野球100回大会の日刊スポーツ「編成部長」を務める前ロッテのサブロー氏(42)が20日、神宮球場でプロ注目の関東第一(東東京)石橋康太捕手(3年)を視察した。希少価値が高いポジションは、プロでも重宝される。

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 石橋の逆転3ランは、肩口から入ってきたスライダーだった。甘いボールをミスショットせずに、確実に本塁打にした。守備では盗塁を2度許した。送球はいずれもワンバウンド。私の計測では二塁送球のタイムは1・97秒で、スカウトによっては1・89秒~2秒09ぐらいの幅があった。

 プロの一流選手は1・7~8秒台を計測する。イニング間の二塁送球でもワンバウンドするシーンがあり、もう少し送球に安定感がほしい。ドッシリした谷繁さんタイプというより、機敏さ、スマートさがある古田さんタイプ。プロで活躍するには時間がかかりそうだが、各球団が高校世代の注目捕手に挙げている。

 毎年話題になるのが捕手の人材不足で、大学、社会人を含めて今年のドラフトでも候補選手は限られる。必要な球団は本来の評価より順位を上げて指名するケースがある。少年野球でも投手、遊撃手が花形で、最初から捕手を希望する選手は少ないのが現状だ。

 もし私がもう1度最初から野球をやれるなら捕手に挑戦したい。難しいポジションだが、他に比べてライバルが少ない分、プロ入りの近道にもなる。肩に自信があった中学時代、レギュラーがケガをしたため5試合ほど捕手で出場したらPL学園以外の高校から捕手でスカウトされた。プロでも重宝され、クビを切られにくい。勝てば年俸が上がりやすく、打てばスーパースター。身体能力の高い選手が、子供の頃からもっと積極的に挑戦したら一流の捕手も増えるだろう。

 プロ1年目で、西武潮崎さん-伊東さんバッテリーと初対戦したら、初球がシンカーだった。普通、18歳の新人相手なら直球だろう。プロで一流の捕手と対戦すると、投手ではなく捕手と勝負してしまう。こうなると打者の負け。一発勝負の高校野球ではデータも少ないと思うが、石橋もそういう捕手を目指してほしい。