金足農(秋田)が逆転サヨナラ2ランスクイズで近江(滋賀)に勝ち、84年以来の4強進出を決めた。プロ注目の最速150キロ右腕・吉田輝星(3年)が左足股関節痛をおして7安打10奪三振2失点で投げきると、9回裏無死満塁、二塁走者の菊地彪吾(ひゅうご)外野手(3年)が、斎藤璃玖内野手(3年)の三塁手前に転がしたスクイズで、三塁走者に続いて一気に生還した。

 公立の農業高が巻き起こす旋風。甲子園には過去にも様々な「旋風」が吹いた。

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甲子園の主な旋風

 ◆蜃気楼(しんきろう)旋風(58年夏・魚津) エース村椿輝雄が初戦で優勝候補の浪華商を完封すると、3回戦でも桐生を完封。準々決勝では板東英二(徳島商)と投げ合い、0-0のまま延長18回引き分け。

 ◆炭鉱の工業高校(65年夏・三池工) 原辰徳・前巨人監督の実父、原貢監督(故人)が率いた。三池炭鉱事故から2年後。2年生左腕の上田卓三が1人で投げきり、凱旋(がいせん)パレードに約30万人。

 ◆二十四の瞳(77年春・中村) エース山沖之彦(元阪急)ら部員12人だけで準優勝した。

 ◆新湊旋風(86年春・新湊) センバツ初出場の年、酒井盛政投手が近藤真一投手(享栄)と投げ合い1-0で勝利。2回戦で拓大紅陵に4点差逆転勝ち。準々決勝で京都西を延長14回で下し4強。

 ◆がばい旋風(07年夏・佐賀北) 特待生問題が起きた年に公立校が進撃。準々決勝で帝京に延長13回サヨナラ勝ち。決勝では副島が広陵・野村(現広島)から8回に逆転満塁本塁打。