酒田南が11-2の7回コールドで山形商を退け、秋連覇に向けて好発進した。2年生の「ビッグマン」コンビが投打で活躍。身長191センチの最速144キロエース右腕・渡辺拓海が4回を3安打無失点。打席でもダメ押し3ランを放てば、189センチの主将で4番伊藤海斗外野手も2点先制打を含む4打点と活躍した。

食いついたら離さない大蛇「アナコンダ」の異名を持つ伊藤海が、初回から本領を発揮した。1死二、三塁、左打席から左前への2点先制適時打。「逆方向に転がして打てた」と主将らしくチーム打撃に徹した。さらに3回の次打席では1死二、三塁から中犠飛で3点目を挙げ、5回1死三塁では遊ゴロ(記録は遊撃失策)の間に走者をかえした。鈴木剛監督(37)は「初回は振り回さないで、きっちりと合わせて点を取りにいった。さすがだな」と目を細めた。

エース渡辺も負けてはいない。140キロ台前半の速球に多彩な変化球を交え、4回まで散発3安打無失点。地区予選からエース番号を背負い、「最初は真っすぐを多めにして、2巡目からチェンジアップやスライダーを交ぜて打ち取れた。浮いた球もあったので70~80点」と自己採点した。7番打者としても5回1死一、三塁から左中間へ豪快な3ランを放ち、9-0と試合を決めた。110キロの巨体を揺すってダイヤモンドを駆け抜け、「内角真ん中のスライダー。(バットの)芯だったので感触は良かった」と高校通算3号を喜んだ。

課題も残った。チームは11点リードの5回裏、2失点でコールド勝ちの点差を崩され、7回まで引っ張られた。伊藤海は「先っぽばかりで自分らしいスイングができなかった。甘いボールはフルスイングで捉えたい」と反省。渡辺も「もっとアウトローを攻められるようにしたい」と課題を挙げた。2番手投手が打たれた鈴木監督は「キャッチャーの経験不足もある。経験を重ねて7回までできたことが収穫」と、前向きに捉えた。【佐々木雄高】