決勝は御殿場西(東部4位)が、清水桜が丘(中部2位)との激闘を制し、27年ぶり2度目の優勝を飾った。延長11回、6-5で粘る相手を退けた。1番夏賀貞伍外野手(2年)が7打数6安打2盗塁で打線をけん引。2016年8月末に就任した森下知幸監督(57)が、3年目で同校を県の頂点、東海大会でのシード権獲得に導いた。目指すは、27年ぶり2度目のセンバツ出場だ。

御殿場西の高田翔太投手(2年)が最後の打者を三ゴロに仕留めると、沼津・愛鷹球場が大歓声に包まれた。東部勢の優勝は、05年の富士宮西以来13年ぶり。選手たちはマウンド付近で人さし指を突き上げ、勝利の立役者となった夏賀は声を弾ませた。

「うれしいです。みんながつないでくれて、自分で決めようという気持ちで、打席に入りました」

11回表2死二塁、内角直球に逆らわず、左翼へ決勝の適時二塁打を放った。「いつも森下監督から『きれいなヒットではなく、勝てるヒットを打て』と言われるので、うれしいです」。

2年前の夏、夏賀ら現2年は中3で、進学先選択の時期だった。そのタイミングで、常葉学園菊川(現常葉大菊川)での07年センバツ優勝など、率いた3校で通算8度甲子園に導いた森下氏が、御殿場西の監督に就任。御殿場市出身の夏賀は、ノックバットを握るマメだらけの森下監督の手を見て確信したという。「この人となら甲子園にいける」。164球で完投したエース高田も同様だ。「すごい監督。ここで野球をやりたいと思いました」。

3年目でつかんだ県の頂点。指揮官は冷静に言った。「ここで成果が出ましたが、2年前から『こういう野球をやろう』と選手たちが頑張ってくれたことが、今につながっていると思うね」。信じてついてきた選手たちは、東海大会のシード権も獲得。同校2度目のセンバツ出場、95年夏、韮山以来の東部勢甲子園出場も現実味を帯びてきた。【鈴木正章】