旭川地区で、昨夏甲子園に出場した旭川大高が、2年ぶり12度目の春全道大会出場を決めた。5番の脇田悠牙中堅手(3年)が、初回無死二、三塁での中前2点適時打など、4打数3安打2打点。今地区予選4試合で14打数7安打3打点、新チームとなった昨秋から通算10試合40打数20安打12打点、打率5割の“旭川の安打製造機”が、3季連続の道大会切符を、もたらした。

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右に左に中央に、打ち分けた。先制直後の初回無死二、三塁の好機で、脇田は中前への2点適時打を放ちスイッチを入れると、3回は左前打、5回は右前打といずれも先頭で出塁し、生還を果たした。7点のうち4点に絡む活躍に「状況に応じた打撃やプレーで勝利に貢献できたことが良かった」と振り返った。新チームとなった昨秋以降、公式戦通算10試合40打数20安打12打点。今春の地区4戦でも打率5割を維持し、全道に乗り込む。

20メートルダッシュや、メディシンボール投げなど7項目ある旭川大高野球部伝統の体力測定数値は、チームトップ。50メートル走は6秒1で、本塁打も通算7本放っている。端場雅治監督(49)は「長打もあり野手の間を抜くこともできる。足も速くて肩も良く、すべてにおいて能力が高い」と言う。2年生4番として昨夏の甲子園に出場した主将の持丸泰輝捕手(3年)は無安打。得点源が警戒される中、後ろの万能5番が、しっかり仕事をこなした。

苦い経験が成長を促した。1年秋に初めてベンチ入り。昨春もメンバー入りしていたが、夏の地区予選直前の練習試合で走塁ミスを犯した。右中間寄りに飛んだ中飛で判断を見誤り、二塁から三塁へタッチアップできなかった。このプレーが原因でメンバーから外れ、甲子園ではスタンド応援。同学年の持丸、菅原礼央(3年)がプレーする姿に「悔しくて仕方がなかった。同じ失敗は二度と繰り返したくない」。1球への集中力は増し、高打率を生むきっかけとなった。

「まず春の全道で優勝し勢いをつけたい。そして、最後の夏こそは甲子園でプレーしたい」。8強に進出した昨秋全道は、札幌円山で10打数5安打5打点。相性の良い地で再び爆発し、夏へ助走をつける。【永野高輔】