今大会屈指の好投手として注目を集める静清の石田裕太郎(3年)が、最後の夏に挑む。キレ味鋭い最速145キロの直球と多彩な変化球を駆使。「圧倒」をテーマに、周囲への感謝を持ちながら、仲間とともに甲子園出場を目指す。

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静清の石田が、最後の夏に輝くため、着々と準備を進めている。「これまでに何の実績も残せていない。これまで支えてきてくれた人のためにも、夏は覚悟を決めて臨みます」。その姿勢は、今年1月に就任し、社会人野球ヤマハの監督として都市対抗出場の経験を持つ長田仁志監督(66)から「春からスタミナもついて、制球面や球のキレも良くなっている。向上心も素晴らしい」と高い評価を受けている。

1年夏から公式戦で登板機会を得ていたが、エース番号を背負ったのは、昨秋が初めてだった。だが、地区大会で敗退。「何が足りないのかを真剣に考えた」結果、体の強さ・直球の強さを求め増量、フォーム作りに踏み切った。体重は、68キロから75キロへ。フォームは、スムーズな体重移動からのリリースとなり、球速も上昇。今年2月のブルペン投球で自己最速の145キロを計測した。

注目を集めて登板した藤枝明誠との春の地区初戦。タイブレークの末に敗れたが、延長13回を1人で投げ抜き、自責点0と好投した。「大会に向けた調整や内容で次につながる試合にはなった。でも、勝てなかったのは事実。今後は、どんな形でも0点に抑えれば負けないと意識してやりたい」と話した。

自慢の直球のほか、カーブ、スライダー、チェンジアップ、スプリットを操る。しかし、勝負の夏に向け「質を求めて3種類ぐらいに絞りたい」と話す。その上で「球速ではなく、制球や“間”で勝負したい。全試合完封するつもりで投げたい」と力強く宣言した。【河合萌彦】

◆石田裕太郎(いしだ・ゆうたろう)2002年(平14)1月22日、横浜市生まれ。小3から森ファイターズ(横浜市)で野球を始めた。中学時代は神奈川ボーイズに所属。静清では、1年夏からメンバー入り。今年2月の練習で自己最速の145キロを計測した。右投げ右打ち。179センチ、75キロ。血液型A。家族は両親と弟。