中学時代に軟式球で史上最速とされる150キロをマークした高知・森木大智投手(1年)がハイスペックを見せつけた。今春センバツ8強の龍谷大平安(京都)との練習試合(京都)に先発。長い投球回を意識し、最速143キロの直球とわずか1死球の制球力で強豪を3安打1失点に抑えて2-1で破り、入学後、初完投を果たした。日刊スポーツ「編成部長」のサブロー氏(43)は16歳に備わる底知れぬ能力を高く評価した。

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右腕の振りに野性的な、しなやかさがある。表現が難しいが、肘から手の間までに、もう1つ関節があるような感じ。前腕の真ん中から、さらにしなって押し込むような動きに見える。この柔軟性が高めの直球を2段階で伸び上がらせるような感覚を覚えさせる。

高卒ルーキーで対戦したダルビッシュ(当時日本ハム)の柔軟性も際立っていた。左腕を三塁側に向けて投げていたが、普通はそこから右腕を回すと左肩が早く開いてしまう。だが開かずに左腕で壁をつくって投げる姿に同僚だった小林宏之は「あんな投げ方は誰もできない」と言っていた。肩甲骨の可動域が広かったのだろう。フォームはダルビッシュと違うが、抜群の柔軟性は共通する。

柔らかさに体幹の強さもあり、ケガをしないタイプに見える。無事これ名馬は、大事な素質。成長期にあり、体の状態を確認しながら投げることは、もちろん大事だ。その中で強度のある球を投げ、球数を放らせて覚えることもある。田中(ヤンキース)も高校時代はかなり投げたが、プロに入ってからも大きな故障は少ない。現在の高校生で能力で言えば大船渡の163キロ右腕、佐々木朗希がNO・1だが、タフさなら森木が上回るのかもしれない。

ボールの重さがない分、軟式球でスピードを出すのは難しいと思うが、森木が持つ動物的筋肉なら150キロを出したのも納得する。下半身を鍛えれば硬式球でも自然と150キロは出る。まだ16歳だが追い掛けたい。