「高校四天王」の一角、星稜・奥川恭伸投手(3年)がこの夏初のマウンドで「奥川劇場」を披露した。

初戦と同じ「5番・右翼」で先発したが、9点リードの4回から登板。奥川がマウンドに姿を現すと、球場内はこの日一番の歓声と拍手に包まれた。

「(三振は)狙っていた」その言葉どおり、先頭から威力ある直球で、2イニング全ての打者に6者連続三振。「やっと公式戦で投げられて楽しかったです。感触も良かった。次につながるいい投球ができました」。7月から再度、ウエートトレーニングに励み、体作りに着手。首回りが太くなるなど、より体つきはよりたくましくなった。

球場の熱量に押されたか、球場スピードガンでは4回先頭打者の2球目に自己最速を4キロ更新する156キロを計測。幼稚園時代の同級生という、相手の3番二宮聖夢内野手(3年)に投じた初球はなんと「158キロ」の表示だった。

1球ごとに増す場内のざわめきに「何があったんだと思いました」とマウンド上で異変を感じ取った。試合後、奥川は「あれは壊れていると思います。多分」と笑顔でかわしたが、視察した阪神のスピードガンでも、自己最速を1キロ更新する153キロをマーク。間違いなく最後の夏、確実にレベルアップした姿を見せつけた。

「力んでいいと思って投げました。次は長いイニングを考えて投げたいです。この楽しい気持ちを忘れずにやっていきたい」と気持ちを新たにした。

打線は初回、相手野手の3失策が絡み3点先制。2回には先頭の東海林航介外野手(3年)の右越えソロなどで追加点。この回5安打を浴びせ、4点を追加し大きくリード。計12安打で投手陣を援護した。

▽阪神筒井スカウト 順調に来ていることを確認できました。あれだけ腕を振って投げてスライダーがびしっと決まるのは、モノが違う。コース、高さともに低く来て150キロは、春先の力んでの150キロとはちょっと違う。