とつけむにゃー(とんでもない)いだてんは、熊本工ではなく関東第一にいた。1番の大久保翔太外野手(3年)が初回、二塁内野安打で出塁。50メートル5秒7でチーム一の俊足。バットに当ててから一塁到達まで3秒88だった。ディレードで二盗、さらに三盗も決めた。

根拠があった。事前に映像をチェック。ディレードの二盗は「熊本工の捕手は膝をついて返球する。その分、0コンマ何秒か遅れる。自分には大事な世界」と自信があった。三盗は「カウント1-1で左の強打者。簡単に直球を投げるチームじゃない」と変化球を読み切った。1死三塁、投ゴロでギャンブルスタート。惜しくも本塁憤死し「未熟さが出ました」と自らを責めたが、米沢貴光監督(43)は「ギャンブルのサインは私の責任です」と結果を問わなかった。無得点でも初回で勢いをつけ、同点の5回に足を絡め4点勝ち越し。16強へ進んだ。