先輩のサンドウィッチマン(伊達みきお、冨沢たけし=ともに45)さながら、敗者復活から勝ち上がった仙台商が、古川工を6-5で下し19年ぶり5回目の東北大会出場を決めた。先発の1年生・斎賢矢投手(1年)が後半に打ち込まれ5失点も、粘りの投球で完投した。打線も5番・佐藤圭悟内野手(2年)が先制2点適時打を含む4打点と活躍し、39年ぶり10回目の決勝舞台に導いた。青森、秋田、岩手でも県代表2校が決定。残り1枚の東北切符をかけ、22日に3位決定戦が行われる。

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東北切符がかかる大舞台を任されたのは、1年生の斎だった。初回こそ3者凡退に抑えるも、以降は走者を背負う展開が続く。斎は「連投の疲れもあり、状態は悪かった」と振り返るが、粘りの投球で援護を待った。

試合は4回に動く。1死満塁の好機で、5番・佐藤に打席が回る。2球目を強振すると、打球は右前へ先制2点適時打となった。佐藤は「1年生の斎が頑張って投げていたので、打ちたかった」。大会前、佐藤は足の負傷で地区予選2試合を欠場し、その間チームは敗れてしまう。しかし、次の3試合目・敗者復活戦から戦列に復帰すると、チームは負け知らずだ。下原俊介監督(48)は「先制点を取れたことは1番良かった。敗者復活戦から帰ってきて、チームの軸として機能してくれた」と目を細めた。07年のM-1グランプリを制し、一躍スターダムにのし上がったサンドウィッチマンは仙台商の出身。あのときも、敗者復活戦からの快進撃だった。

5回にも佐藤が適時打を放つなど、一時は5点差にまでリード広げた。しかし、古川工も驚異の粘りを見せ、最終回に1点差にまで詰められる。さらに2死満塁のピンチを迎えたが、斎は「自分の力でここまで来たので、最後も自分の球で絶対に抑えよう」と真っ向勝負し、決め球のスライダーで見逃し三振を奪うと、ジャンプしながら笑顔でガッツポーズした。

春1回、夏3回と甲子園に出場している仙台商だが、83年の夏以来、全国舞台が遠のいている。斎は「自分が投げきって東北大会を決められたので、決勝でも自分の投球を貫きたい」と今日22日は仙台育英と優勝をかけて戦う。下原監督は「東北大会前の最後の公式戦。チームの底上げも含めて、一戦必勝で戦いたい」。古豪復活へ、もう1勝積み上げる。【相沢孔志】