仙台育英(宮城)は7回に佐々木涼外野手(3年)が逆転二塁打を放ち、一関学院(岩手)を3-2で下し、11日のノースアジア大明桜(秋田)との準決勝に進んだ。

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仙台育英「3番中堅」佐々木が、12打点だった「宮城県独自大会打点王」の本領を発揮した。1-2の7回表2死一、二塁、内角のスライダーを捉え、右翼線に逆転の2点適時二塁打。「チャンスでまわってくるのが3番。ここで1本出すしかないと思った。入ってくれてうれしかった」。4回にも無死から内野安打を放って1点目につなげるなど、3安打2打点。降雨ノーゲームだった再戦で勝利を導いた。

宮城臨空シニア時代には日本代表で活躍した逸材だ。13年に春夏連続甲子園出場した同校OB兄友希さんの背中を追って入学したが、同学年の入江大樹内野手(3年)らが下級生からメンバー入りする中で、伸び悩んだ。昨秋の東北大会で鶴岡東との決勝で本塁打を放つなど優勝に貢献はしたが、背番号17。今春も不振が続き、ギリギリでセンバツの背番号15はもらったが1ケタ番号には遠かった。

目覚めた“事件”もあった。紅白戦で三振後、バットをグラウンドにたたきつけてしまった。須江航監督(37)から「心が弱い」と叱咤(しった)されると、自戒の涙がほおをつたった。休校中も父茂春さんが投げてくれるバドミントンの羽根を黙々と公園で打ち続け、今大会でようやく背番号8を勝ち取った。

11日の準決勝では好投手カルテットを擁する明桜と対戦。「須江先生の想像を超えるようなプレーをしたい」。心も野球も成長する姿を披露し続ける。【鎌田直秀】