甲子園の交流試合が一休み中でも、全国各地の独自大会で高校球児たちの熱い夏が続いている。滋賀大会では、公立の水口東が綾羽を2-0で下し、初の決勝進出。背番号10の左腕・竹嶋大星(3年)が9回6安打8奪三振で完封した。14日の決勝で夏2連覇中の近江と対戦する。甲子園は15日から後半3日間の戦いが始まる。

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部の歴史を塗り替えた瞬間、背番号10はマウンドでほえた。「真っすぐが走っていて変化球も良かった」。9回2死二塁。竹嶋は121球目で最後の打者を右邪飛に打ち取った。最後の夏に完封。チーム史上初の決勝進出の立役者は、紛れもなくこの左腕だった。

今夏マネジャーがナインの帽子のつばに、1人1人に合った四字熟語を書いた。竹嶋は「一意専心」。他のことを考えず、そのことだけに心を集中するという意味だ。身長185センチの上背を生かした角度ある直球と、決め球のスライダーで凡打の山を築いた。「今日は上出来。100点です」。3年連続4強の綾羽に三塁を1度しか踏ませず、散発6安打で四死球なしの快投。村田潤平監督(36)も「完投は予想してなかった」とうれしい誤算だった。

公立の星に名乗りを上げた。指揮官は「地元のメンバーばかりでも努力したら決勝までいける。地元を盛り上げたい、公立の星になるためにもと言っていました」。特化したスポーツ推薦はなく、部員は甲賀市や日野町など地元出身が多く、好投した竹嶋も「地元で甲子園に行きたい」と入学した。決勝の相手は夏2連覇中の近江。18年秋の1年生大会で敗れており、福井圭主将(3年)は「リベンジじゃないけど、挑戦者の気持ちで挑みたい」。最後の夏、最高の相手との一戦にナインは沸き立っている。【望月千草】